怒る亜衣を宥めて理由を聞くと、やはりエッチするかしないかで揉めたらしい。

「信じらんない! ヤることしか考えてないとか、アタシの気持ちなんかどーでもいいんだ晃のバカ!」
「えーと……」

 どうしよう。内容が内容だけに何と言っていいか分からない。ていうか、僕の助言が切っ掛けで二人の仲が拗れたんだとしたら申し訳ない。

「ご、ごめん。僕がもっと役に立つアドバイスが出来たらいいんだけど」
「瑠衣は悪くない。悪いのは晃!」

 今回は落ち込むというより怒り狂っている。それほどまでに二人の意見は食い違っていたのか。

「早く童貞捨てたいとか、そんなん知らないっつーの! むかつく」

 それは確かに最低だ。いくら僕がフォローしても当の本人がそんなんじゃ意味がない。このままではケンカ別れしてしまうかも。もし二人が別れてしまったら迅堂くんはウチに来なくなる。ただでさえ通う高校が違うのだ。亜衣という接点が無ければ会う機会が無くなる。たまに顔を合わせて、ひと言ふた言話せるだけで嬉しいのに。

「迅堂くんは良くも悪くも正直だから、亜衣が望むような言葉が言えないだけだよ」
「……」
「なにが嫌か、亜衣は説明できる? うまく言えないよね。迅堂くんも同じだよ」
「……そうかなぁ」

 僕の言葉に、亜衣は少しだけ気を鎮めた。