スマホ画面に表示された写真を見て、僕の口から「なんで?」という疑問がもれた。
ついさっき、このベンチで迅堂くんと喋っていた時の写真だ。角度からみて、近くにある校長の銅像の影から隠し撮りしたものだろう。
「こ、これが、なんですか?」
思わず声が上擦ってしまったが、これは単なる『友だちとのツーショット写真』だ。変な場面でもなんでもない。
「こっちも見て」
スッと画面をスライドし、前の写真が表示される。今度は土佐辺くんと話しているところだ。焼きそばの屋台に並ぶ前のやり取りをしている場面。
「先輩、なにしてるんですか」
一体いつから隠し撮りしていたんだろう。なんだか怖い。
「なにか気付かない?」
「なにかって……どっちも男友だちと喋ってるだけですけど」
「本当に? よぉく見比べてみて」
そう言いながら、先輩は僕の顔の前にスマホ画面を向け、二枚の写真を交互に見せ始めた。最初は意味が分からなかったけど、何度も見るうちに、僕はある違いに気付く。
「あっ……」
今度こそ、本当に青褪めた。手が震え、持っていた屋台のビニール袋がガサッと音を立ててベンチの脇に落ちる。拾おうと伸ばした手を先輩に掴まれ、びくりと身体が震えた。