カフェコーナーを出た後、漫画研究部、電研部、ジオラマ部などのマイナーな展示をしている教室が並ぶ区画にやってきた。どれもウチの高校には無い部活だから、活動内容に純粋に興味がある。
ジオラマ部にはかなり大きな展示物が飾られていた。教室のど真ん中に直径一、五メートルほどの島を模したジオラマが鎮座し、訪れた人の目を引いている。ジオラマのそばに置かれたモニターには見覚えのある映像が流されていた。
「あっ、これ『特攻列島』?」
「ホントだ。じゃあコレ、もしかして」
なんと、映像はテレビドラマの映像で、今朝土佐辺くんと話をしたばかりの『特攻列島』だった。ジオラマは作中で主人公たちが戦う無人島が忠実に再現されていて、港や町並み、山の上にある小学校もちゃんと作られている。
「すごい! 本物みたい!」
「見てみろよ。船と車もある」
「うわあ、細かい! 感動する~!」
僕があまりにもはしゃぐので、ジオラマ部の部員さんや顧問の先生が照れ臭そうにしていた。この展示は今年だけでなく、歴代のジオラマ部が少しずつ手を加えて作り上げたものらしい。色んな角度から写真を撮らせてもらい、お礼を言ってから教室を出た。
「今朝たまたま話したとこだから、余計にビックリしちゃった!」
「観に来て良かったな」
「うんっ!」
もし一人で来ていたら亜衣たちのクラスのお化け屋敷を覗くだけで、すぐに帰る予定だった。もし校内を回ったとしても、こんな奥まった場所にある展示には行かなかっただろう。
「えへへ、土佐辺くんと一緒に来て良かった」
笑う僕を、土佐辺くんは軽く小突いた。