結局、先輩とは閉館間際まで一緒に過ごした。自習スペースでも隣の席だったが、私語厳禁の館内ではほとんど話は出来ない。おかげで勉強に支障はなかった。
「瑠衣くん、明日も来る?」
帰り際、図書館を出たところで先輩から明日の予定を確認される。正直、昼から閉館まで図書館にいて疲れた。今日に限っては気疲れもあったかもしれない。先輩が変なこと言うからだ。
「明日はちょっと分からないです」
来れるかどうか約束は出来ない。素直に答えれば、先輩は少し前を歩きながら「そっか」と呟いた。
「気が向いたら来て。俺は大体自習スペースにいるからさ」
「は、はい」
「じゃあね、瑠衣くん。また明日」
「はい、また明……えっ?」
つられて「また明日」と言い掛けた僕に、先輩が吹き出した。恥ずかしさで顔が赤くなる。
「ほんと可愛いよね瑠衣くんは」
「そういうこと言うのやめてください」
「耳まで真っ赤だよ」
「~~~っ」
先輩は僕をからかって遊ぶと決めたようだ。