「平均的な意見って言うなら、男子高校生なんざ性欲の塊みたいなもんだ。運動部のヤツら、部室のロッカーでエロ本共有してるって言ってたし」
「え、学校に持ち込んでるの?」
「卒業した先輩たちの置き土産なんだと」

 なるほど、納得。

「安麻田は?」
「ぼ、僕は全然……」

 急に矛先を向けられ、慌てて否定する。

「好きなヤツに触りたいとか思わねーの?」
「ううん。顔が見れたらそれでいいっていうか……さ、触りたいとかは、別に」
「なんだそりゃ。まあ、一番身近な男がおまえじゃ妹もピュアになっちまうか」

 亜衣がスレてないのは僕の影響なのか。そのせいで迅堂くんが我慢を強いられているのなら申し訳ない気もする。

 うつむく僕の顔を、頬杖をついた土佐辺くんが覗き込む。からかうような笑みを浮かべて。

「てっきり『好きな人なんていない』って言うと思ってたけど、さっきの物言いからすると、いるんだな。好きなヤツ」
「あっ、いや、言葉のアヤで!」

 さっきの問いは引っ掛けだったのか。正直に言うわけにはいかないし、誤魔化さなきゃ。

「そんなことより土佐辺くんはどうなんだよ。エッチなことに興味あるの?」