しばらくして、日和が目覚める。


「……おはよう、日和」
「えっ、わ、おはようございます……!すみません、肩を借りてしまっただなんて……」
「気にするな、お前は僕の花嫁なんだから」
「ありがとう、ございます……」


身を縮こめながら、お礼を言う。お腹も空いたことだろうと、食事を摂りに行くことにした。

綺麗な部屋に入り、出された食事はとても豪華で、美味しくて美味しくて。

いつも、母親と妹に優先して出していたもので、お腹いっぱいになんて食べられてなかったから、嬉しくて仕方がなかった。


「お腹いっぱい食べるんだぞ」
「はい……!ありがとう、ございます……」


ガブガブと、誰かに取られるわけではないのに勢いよく食べる日和。

そんな日和を見て、由貴は幸せな気分に浸っていた。


「日和、これからは毎日お腹いっぱい食べていいからな」
「はい!ありがとうございます……!!」


最初こそ警戒していたものの、とっくに日和は由貴を信頼してしまっていた。

環境の影響が第一だとは思われるものの、由貴の優しさにも心を打たれていたのだ。

なんなら、由貴の嫁になってもいいと、思うほどに。