「……大丈夫か？気分が悪そうだが……」
「だ、大丈夫です……ちょっと、疲れちゃっただけで」
「そうか。もう部屋に着くから、そしたら休もう」
「はい……」


かくよりに来たことにより、慣れない環境で余計に疲れが出ていた。

だが、初めてきて自分で歩くことができるというのは珍しいケースで、とてもすごいことなのである。

部屋に着き、大きな扉を開ける。中に入り、置かれていたソファに腰をおろす。


「お疲れ様」
「ありがとうございます……」


その隣に由貴も座り、背中をさすった。すると日和は安心したのか、眠りについてしまったのだった。


（……今日はゆっくりさせてやろう。色々なことが起きて、しんどいだろうしな……これのことも）


真っ二つに割れたヘアピンを見る。日和が部屋に置いていたものを、持ってきてしまったのだった。

本当は今にでも、自分の花嫁だと周りに見せつけたいがそんなことをして嫌われてしまっては生きていけないので、控えめにすることに決めたのだった。

部屋の扉がノックされ、ドアが開く。


「旦那様」
「なんだ」
「……信じ難いのですが———」


冷菜の言葉に、唖然とした。