「“未来のミク”ちゃん。遥がよく話してくれる女の子の名前なの。そっか、あなただったのね」

「ハルカが……私のことを?」


うんうん、と満面の笑みで頷いたハルカのお母さん。


「未来ちゃん。いつか会ってお礼が言いたかったの。貴方に出会ってから、遥ったら、本当に毎日が楽しそうなのよ。あの子に付き合ってくれて、ありがとう」


そう言って頭を下げてきたハルカのお母さん。目を見開いて慌てて首を振る。


「そ……そんな大したことしてません」


優しい表情で首を振ったハルカのお母さんは、何かを思いついたように「そうだ」と声をあげる。


「ねえ未来ちゃん、この後ご予定とかある?」

「え? いえ、特には……」

「良かったら、一緒にお茶しない? 遥は眠っているから、私と二人きりになるんだけど」


どうしよう、と視線を泳がせる。ハルカと同じように、目をキラキラさせたハルカのお母さんの視線に少し戸惑う。

断ろうかとも思ったけれどせっかくの誘いを無下にもできず、お邪魔することにした。


「こっちよ~」と案内された2階の応接間のソファーに座りながら、やっぱり断るべきだったとひどく後悔した。

あまりにも馴染みのない豪華で綺麗な調度品や内装に、目がちかちかし始めたほどだ。

そういえばこの辺って高級住宅街だったな。