三人並んで家に帰った。

玄関先に着くと「僕は帰るよ」と言った高木さんを引き留めた。少し驚いた顔をした高木さんはちょっと泣きそうな顔をした後「じゃあ僕も一緒にお祝いさせてもらおうかな」と笑った。

リビングのテーブルには私が買ってきたケーキが並べられていた。

高木さんが申し訳なさそうに買ってきたケーキを背に隠したので「それも食べたい」と小声で申し出ると、また泣きそうな顔で笑って頷いた。

お母さんはぐすんぐすんと鼻を啜って半泣きで、高木さんもうるうるしている。私も散々泣いたので、目も鼻も真っ赤だった。

グラスにジュースを注いで乾杯をした。

全員鼻声なのが面白くて「乾杯」の声は笑い声に変わった。


二種類のケーキを突きながら、思っていることを二人に少しずつ話した。

高木さんのことは嫌いじゃないこと、お母さんには幸せになってほしいこと、ただまだ心がそこまで追いついていないこと。

時折気持ちが昂って、言葉もまとまらずに支離滅裂なことを言っていたと思う。

それでも二人は真剣に耳を傾け、時に申し訳なさそうな顔をして最後まで聞いてくれた。