結局学校に着いたのは四限目の最中で、担任から軽く説教を頂戴し席に着く。みんなにクスクス笑われてかなり居心地が悪かった。
昼休みになって前後左右の席の子が机を動かしながら身を乗り出す。
「未来ちゃんが遅刻って珍しいね」
「確かに。本庄さんが怒られてるの初めて見た〜」
「夜ふかしとか?」
お弁当を広げながら興味津々に聞いてくる。
「うん、そんなとこ。後で午前の授業のノート見せて」
「いいよ〜」と笑ったみんなはすぐに別の話題に移った。
「そういや真由美たち、今朝より戻したらしいよ」
「クラスのグループトークで上がってた動画だけどさ」
「あの漫画、5巻から展開がヤバくてさ」
テレビのチャンネルを切り替えるみたいに話題はころころと変わっていく。私はすぐに聞き手に回りうまい具合に相槌を打った。
手元の菓子パンに視線を落とし一口齧る。ちゃんと咀嚼したはずなのに、うまく喉を通らず、ペットボトルのお茶で流し込むように飲み込む。
それでも胸に何かがつっかえているような感覚は取れなかった。