へぇ!と興奮気味に身を乗り出したハルカにクククと笑う。予想通りの反応がたまらない。

答えはまだ教えずに、画用紙に次々と書き込んでいく。

「花束」矢印、「いちごのホールケーキ」矢印、「ブドウ100%のジュース」矢印、「山盛りの唐揚げ」矢印、「たくあん入りのポテトサラダ」矢印、「新しい小説」矢印、「緑のラインが入ったスニーカー」矢印、「クラッカー」矢印、「キラキラの風船」矢印。

そうして画用紙がいっぱいになって、最後に「15歳」と書き入れる。


「分かった!」


ビシッと手を上げたハルカ。


「それ、お誕生日パーティーを作るための地図だ」

「そ、正解」


ニヤリと笑ってハルカに地図を見せる。間抜けな顔で「おお〜」と拍手した。


「うちね、毎年誕生日の前の日に地図を作るの。でね、誕生日の日には家族みんなでそれを一つずつ集めて、最後にパーティーするんだ」

「すごい、面白いね。ワクワクするね。宝探しみたい」

「お父さんが考えたんだ。“誕生日探し”。今もお母さんと二人でやってるの」

「いいな〜、誕生日探し。おれもやりたい」


羨ましそうなハルカの横顔。チラッと見て画用紙に書き込むふりをしながら口を開く。


「別に、いいよ。明日お母さん帰ってくるの多分夕方とかだから、先に始めようと思ってたし。ハルカも“誕生日探し”参加していいよ」

「ほんと!」