大通りに出ると、昼ごはんの食材を調達するために出かけている主婦が多かった。
信号で止まるたびに皆が私をちらちらと見てくる。とっくに学校は始まっている時間だから制服姿は結構目立つ。
こちらを窺ってくる視線が居心地を悪きして、大通りから一本外れた路地に入った。
「あれ、この道初めて通ったかも」
そう呟きながら見慣れない路地を進む。
大通りの場所はちゃんと把握しているし、わからなくなれば戻ればいい。
そう思いながら突き進むと、そこそこ大きい小綺麗な公園が見えてきた。入口に季節の花が揺れる花壇があって、少し小高くなった公園の中心には大きな時計台がある。
鉄製のベンチには老夫婦が寄り添って日向ぼっこをしていた。ふんわりと甘い花の香りを乗せた風も私を追い越す。
さらに進めば外観の綺麗な住宅地に入った。お洒落なクリーム色の煉瓦作りの一軒家が立ち並ぶ。
さっきの花の香りはここから届いたのだろうか。
どの家も花壇の手入れが行き届いていて、小さな花が揺れている。
自分が今朝飛び出してきたボロいアパートを思い出す。