「さっき目が覚めた時に、お母さんが教えてくれたんだ。助けてくれた女の子が毎日心配そうに窓を見上げてたよって」
「誰が心配なんかするか! ……て言うか“さっき目が覚めた”って、それまでずっと意識なかったの?」
珍しくハルカが「あー……」と苦く笑って頬をかいた。
「ちょっと説明するのがむずかしいかもしれない」
「……何よそれ」
「おれ、ちょっとむずかしいビョーキで」
思いもしなかった返答に目を見開く。
「ねぇミク、公園まで乗せて」
「あ……うん」
咄嗟に頷いてしまい、あれほど二度と後ろには乗せてやらないと思っていたハルカをまた後ろに乗せた。
多分ビョーキだって聞いて、一瞬すごく戸惑ったからだ。久しぶりの重みにハンドルが少し揺れた。