綿飴をちぎったみたいなぼやけた雲が浮かぶ空を見上げながら、中学二年生の私が使うにしては少し古臭い錆び付いた自転車で突き進む。

お昼間近のゆったりとした空気が漂うこの道に、キコキコ、シャッシャッ────と今にも潰れそうな音がむなしく響いた。


雑草まみれのフェンスの向こう側で最寄り駅から出てきたばかりの電車が少しの間私と並走し、やがて飛び出した。

ずんぐりむっくりしたバイクがぶおんと私を追い抜かしていく。


遠くなっていく二つの背中に、立ち上がってペダルを踏んだ。