連日続く雨はあちこちに鏡のような水溜りを作り、町中に金魚みたいな匂いを漂わせる。
少し前から梅雨の時期に入った。
毎朝雨ガッパを着て自転車を漕いでいるから学校につけばスカートも靴下もぐっしょり濡れていて気分が上がらない。
今日もため息の多い一日を過ごした後、まだ今朝の雨が乾き切っていない雨ガッパを着て帰り道を急ぐ。
雨足は今朝より少しだけ弱まっていた。
自転車を漕ぎながらキョロキョロとあたりを見回した。信号で止まるたびに振り返ってみた。いつもと違う道でも帰ってみる。
もう二週間近くハルカを後ろに乗せていない。
最後にハルカの家の前を通った。
出窓にはきっちりカーテンが引かれている。それを見上げて小さく息を吐き、今日も帰路についた。
ハルカのやつ、大丈夫なんだろうか。
流石に一緒にいた時にぶっ倒れられたら少しは心配してしまう。