自分がひねくれ者なのは自分が一番知っている。そういうお世辞ばっかりな会話は息が詰まって大嫌いだ。


「もー、素直に受け取ればいいのに。おれ嘘はつかないよ」


「よっこらしょ」と起き上がったハルカの髪には、草や花がたくさん絡まっていた。勢いよく首を振って払い落とそうとし出す。

猫みたいって思ったけど、やっぱり犬みたい。


「早く乗って」

「うん」


自転車に荷物とハルカを積んで、自分も跨った。勢いよく地面を蹴ってバランスを取る。

しばらく進んで後ろのハルカに声をかけた。


「あんた、いつもこんなふうに過ごしてるわけ?」

「んー、そうとも言える」

「何その言い方」


ハルカがへへ、と笑って自転車が少し揺れた。

青い空と昼間の草の匂いを思い出す。多分私はもう二度とこんなふうに過ごすことはないんだろう。


「ね、ミク。また会えた時は、また後ろに乗せてくれたら嬉しいな。おれ、二人乗りすごい好きだ」

「やだよ。そもそもニケツは道路交通法違反だし」

「でもこれ、ちょっとおしり痛くなる」

「あんた人の話聞いてた!? 乗せないつってんでしょ! てか文句言うなら乗るな馬鹿っ」


ハルカの愚痴を一蹴して強くペダルを踏む。

二人分の重さに文句でも言っているかのように自転車はギイギイ音を立てて進んだ。