「そういや、なんであんなところにいたの。高いところ巡りって何?」
「うーん。特に意味はないけど、ちょっと探し物をね」
「何を?」
「変わってないもの、とかかなぁ」
さっぱり意味が分からないから、ふうんと適当に相槌を打ってもぐもぐと口を動かした。
ハルカがごろんと芝生のうえに寝転がる。寝転がるとふあぁとあくびをして、眠たげに瞼を擦った。
まだたこ焼き、四つしか食べていないのに。
「もういらないの? 別に遠慮しなくてもいいけど」
「してないよ、ごちそうさまでした。美味しかったです。おれ、たこ焼き好きになった」
にこりと微笑んだハルカは、そのまま芝生の上をコロコロと転がり始めた。
残り五個を一人で平らげ、ペットボトルのお茶を一気に飲み干しす。
「どうして、ミクとこう何度も偶然に出会うのかなあ。それもおれが困ってる時に」
「知るか」
ゴロゴロと転がりながら隣に戻ってきたハルカを一瞥して、素っ気なく答えた。
ハルカは転がりながら手を伸ばし、頭の上にあった小さな花をプチッとちぎった。クンクンと匂いを嗅いで満足げに微笑む。同じようにいくつか引っこ抜くと、名前もわからないその小さな花を「どうぞ」と私に差し出した。
「言っとくけど、それだけじゃたこ焼き代はチャラにしないから」
「ちぇー、やっぱりだめか」
唇を尖らせたハルカに、思わず笑ってしまった。