近くの公園に立ち寄った。
公園の周りを囲うように赤と白のツツジが咲いていて、茶色いレンガで整えられた道がある。おとぎ話に出てくるハートの女王の庭みたいだ。
猫足の白いベンチにはカップルが座っていたので、ひらけた芝生の上に座った。
「いただきます」
手を合わせてから、爪楊枝でたこ焼きをぶすっと刺して口に運び頬を緩める。咀嚼しながらちらりとハルカを見やると、爪楊枝で突き刺したたこ焼きを物珍しそうに見ていた。
「おれ、たこ焼き初めて」
「嘘つけ」
「嘘じゃないよ。買い食いも初めて。本でしか読んだことなかったけど、ワクワクするねえ」
目じりを下げて口に運ぶハルカを横目に「やっぱり変な奴」と呟く。ぶすぶすっと二個いっぺんに爪楊枝で刺せば、隣から非難の声が上がる。
「あ、ずるい。反則だよミク」
「うるさい、あんた乗せてたから消費が多いの」
ふん、と鼻を鳴らして一気に口の中に放り込む。
すると「おれも二個いっぺんに食べてやる」と手を伸ばしてきた。それをかわすためにパックをひょいと高く持ち上げる。悔しそうに唇を尖らせていたのでちょっと胸がすっとした。