頭の真ん中まで響いてくるその音は、ドラゴンが吠えたける音よりも絶対にうるさいと思う。生まれてこのかた、ドラゴンの鳴き声なんて聞いたことはないけれど。

う、と呻き声を上げて耳横で鳴り響くスマホを人差し指で黙らせた。

頭に残るアラーム音に顔を顰めて布団の中でもそもそと身じろぐ。その拍子に何かが枕元からバサリと落ちた音がした。

多分昨日眠る直前まで読んでいた小説がベッドから落ちたんだろう。

ゆっくりと瞬きをする。視界は魔女の住む森の深い森を歩く時みたいにぼんやりしている。


のっそりとスマホを掴み布団の中に引き込む。眠気まなこに画面の光はちょっと痛い。

暗い布団の中でひとつあくびをして表示された時刻を見る。次の瞬間勢いよく布団を蹴飛ばした。


「サイッアク!」


昨日椅子に掛けたままのセーラー服をむんずと掴んで洗面所へ走る。途中で急ブレーキをかけて枕元に置きっぱなしだったスマホを掴んだ。