ほら、と背中を軽く押された私は駆け足で駐輪場に戻り、自転車に鍵を差し込んだ。

前かごに鞄と買い物袋を放り込みスタンドを外す。

自転車を出しながら振り返れば、あいつは電柱にもたれかかって楽しげな顔で空を見上げている。


何で私が。


一つ溜息を吐いてサドルに跨り、強く地面を蹴った。