今までそんなことは一度も考えたことがなかったのに、言葉にしてすとんと胸の中に落ちた。

伝えたいことはいっぱいある。でもこれだけでも全部伝わるような気がした。

ハルカは目を丸くした。何度か瞬きしてその長いまつ毛から雫がぽたぽたと落ちる。そして顔をくしゃくしゃにして大きく頷いた。


「おれも、ミクが大好きだよ」


両手を差し出して、私の手をぎゅっと握った。瞼を焼くような熱さにただただ顔を顰めて、離すものかと力を込めた。

この手を離したら、二人の冒険は終わってしまう。そんな気がしたから。


結局ボートは月には届かなかったけど、風に煽られて星空が映る湖の上を静かに進み続けた。