「迎えにきてくれてありがとう。一緒に冒険してくれてありがとう。後ろに乗せてくれてありがとう。おれと一緒の時間を進んでくれて、ありがとう」
落ち着いた穏やかな声だった。
「本当に、本当に嬉しかったんだ」
それは、それは私だって。
ハルカと一緒にいたから、ハルカと冒険したから、ここまで来ることができた。
勇者の剣も、ハルカがいなければ私は蹴っ飛ばして通り過ぎてしまう。火を噴くドラゴンも私ひとりじゃ戦えない。全部ひとりじゃなかったから、冒険してこれたんだ。
汚くて面倒くさくてくそ喰らえって思うくらい阿保らしい世界で、ぽつりぽつりと「良いこと」が見え始めたのは、ハルカが側にいたからだ。ハルカが側に居なかったら、世界はドロドロな真っ黒で覆われたままだった。私はずっと息苦しいまま、この世界を一人で走り続けるしかなかった。
私だって、嬉しかった。楽しかった。それ以上に、私は。
「あのね、おれね。おれ────」
ハルカの声が湿ってハッと顔を上げる。
「おれ、ミクと出会えて、本当によかった……っ」
泣きながら笑っていた。ボロボロと涙を流しながら本当に幸せそうに微笑んでいる。
頭の中では言葉がどんどん溢れ出すのに、口が、心が、追い付かない。
胸で言葉がつっかえて、気持ちが溢れて膨らんで、いっぱいいっぱいになったその瞬間────弾けた。
「私、ハルカが好き……!」