私の曖昧な説明にも嫌な顔をせず高木さんは真剣な顔で相槌を打つ。
「私前に、ハルカに助けてもらったことがあるんだ。だから今度は、私はハルカのために何かしてあげたいんだけど……」
「なるほど。未来ちゃんはその子のために何かしてあげたい。でもその方法がわからない、と言うことかな」
うん、と頷く。
かける言葉ならたくさん考えた。「ハルカは一人じゃない」「私がいる」とかそんな言葉。でもそんな私が思いつく程度の言葉は、薄っぺらくてありきたりで、きっとイバラの森の城に閉じ籠ってしまったハルカにはきっと届かない。
じゃあ私には何ができる?
「そうだなぁ。じゃあさ未来ちゃん。自分に置き換えて考えてみようか」
「自分に?」
そう、と高木さんが微笑む。
「未来ちゃんは孤独を感じて寂しい時、どうして欲しい?」
私が寂しいとき……?
視線をテーブルの木目に落とす。
私が寂しい時、その時は。
「何もしなくていいから、そばにいてほしい……かな。一人じゃないんだって思えるように。でも、それじゃダメなの。もうすぐ引っ越して、すぐには会えないところに行っちゃうから」
「だったら、一人じゃないって思えるだけのたくさんの思い出があれば、少しはその子の勇気になるんじゃないかな」
高木さんの言葉を心の中で繰り返す。
────一人じゃないって思えるだけのたくさんの思い出。