なぜそれを、と胸を押さえた高木さんに我慢ができずくすくす笑った。
自分の気持ちを二人に打ち明けてから私の中で整理がついたのか、お母さんと高木さんの関係を心からちゃんと応援できるようになった。
最近は週に一回三人で出かけたり、こうして高木さんが家まで遊びに来たりもする。
自分で言うのもなんだけれど、高木さんとはいい関係を築けていると思う。
高木さんには完成したコンソメスープの火の番だけを任せたので、うちの天井が焦げることなく無事晩御飯が完成した。
高木さんは誰だって作れるような簡単なオムライスを大袈裟なまでに「美味い美味い」と言って食べる。
子供みたいなその顔をぼんやりと見つめながらスプーンをくわえた。
「ミクちゃん、なんだか元気ないね。学校で何かあった?」
「え……?」
「あ、思い違いだったらごめんね。いつもと違うふうに見えたから」
首を傾げた高木さんに目を瞠る。態度に出していたつもりはなかったのに。
「……その」
何から話せばいいのかわからずに言葉を詰まらせる。目を細めて「うん」と頷いた高木さんはゆっくりとスプーンを置いた。
「寂しがりやの、友達がいて」
「クラスの子?」
「では、ないんだけど」
ふんふんと高木さんが頷く。
「訳あって私たちと同じように生活することができなくて、それがすごく苦しいんだって。取り残されたみたいだって言うの」
コンソメスープをずずっとすする。