心臓がばくんと鳴って一瞬息が止まる。踝から脳天まで突き抜けるような何かが走り、気が付けばハルカの座るベッドに身を乗り出して飛び乗り、勢いのままにハルカの首に抱きつく。
ふたりして後に倒れこんだ。そばにあったクッションがベッドから転がり落ちて行く。
耳元で、押し殺したような嗚咽が聞こえる。
かける言葉が見つからず、固く目を閉じてハルカの頭を抱きしめる。胸が痛くて目頭が熱い。でもきっとハルカは、私よりも痛いはずだ。
言葉が上手くまとまらなくて、ただきつく抱きしめた。
「“こんな”ハルカだから、幸せを見つけるのが上手いんでしょ」
やっと出てきた言葉は、やっぱり意味不明で全然気の利いた言葉でも励ましの言葉でもない。ハルカは首を振った。
「おれは上手いんじゃなくて、必死に探してるだけだよ。じゃないと寂しくて寂しくて、この世界が大嫌いになりそうだったから。だから“幸せ貯金”を始めたんだよ」
「どんな理由でもいいじゃん。でも、もしほんとうに嫌なんだったら、私を手伝ってよ」
ハルカが目を瞬かせると、涙がポロリと零れていった。
「ハルカは幸せを探すのが上手くて、私は下手で、ハルカは道に迷うけど、私は迷わない。じゃあふたりで探せばいい、そうでしょ? 起きてる間は私がどこにでも連れて行ってあげる。だから私の分も探して」
ハルカは何も言わなかった。代わりに私の背中に腕を回してぎゅっと力を入れてきた。