「あ……あぁ……そんな、嘘だろ……っ」

 逃げ出したテイリーは、レミーゼの屋敷へと向かっていた。
 地下室に下りてみると、死体がまた一つ、増えている。

 どうして? どうしてだ?
 テイリーは声を出して泣いた。

 自分の判断ミスだ。
 旦那様に報告などしたばっかりに……。

 やはり、最初に気付いたときに、自分の手で始末しておくべきだった。
 あのあとすぐに殺すべきだったのだ。

「……化け物め」

 そうだ、あれは化け物だ。
 レミーゼ様に成り済まして、旦那様の命までも奪い取った。

 何をするつもりだ……?
 ローテルハルク領を乗っ取るつもりか?

「させてたまるか……」

 そんなことはさせない。
 お二人の名誉に懸けて、俺が止めてみせる。

 必ず、あの化け物の息の根を止めてやる……っ!