「ごちそうさまでした」

香苗の家で、夕ご飯を食べ終わったころ、ふいに香苗のお母さんが私に尋ねてきた。

「あ、ねえ美織ちゃん、今日、急だけど泊まっていかない?」

「え…いいんですか?迷惑じゃ…」

「そんな、全然迷惑じゃないわ。下着とかは香苗のでいいでしょう?急でごめんねーほんとに。肉じゃが作りすぎちゃって。明日お弁当春巻きにしようと思うんだけど、明日美織ちゃんの分もお弁当作りたくなっちゃって」

「え!おいしそう!香苗ママのご飯、大好きなんですよね」

「あらー!嬉しいわ、じゃあ、決まりでいいかしら?」

「あ、はい。今、親にラインしときます」

ラインを開く。と、既に親からの通知があった。

”ごめん!今日、ミスした子の残業手伝いで帰れんわー!”

”今日、香苗の家に泊まりになったからいい”

「美織ー!急なお泊まりでごめんね!」

「ううん!ぜんっぜんだいじょぶ!むしろ、香苗のお母さんのご飯めっちゃ食べれてラッキー」

「それはよかった。ていうか、聞きたいんだけどさ」

「うん、なに?」

「寝るときでいいや!恋バナは夜だよね」

「え!?まだ恋バナすんの!?」