「美織ー!おはよ!」

「おおおはよぉっ…か、香苗…」

朝から表情筋がちがちの私を見て、香苗は苦笑しながら言った。

「今から緊張してどうすんの。それに、ここ。クマできてる。寝れなかったんでしょ?」

私の目の下を指でとんとん、として、もうっ、と言いながら香苗はカバンから何かを取り出した。

「じっとしててね、すぐ終わらすから」

香苗がカバンから取り出したのはメイク道具だった。

「え、ちょ、メイク!?ばれたら怒られるよ」

「大丈夫だって。みんなしてるし。それに、先生たち今日だけ見逃してくれるから。それとも、その血色の悪い顔で告るの?」

「う…」

痛いところを突かれ黙る私に、香苗はにやりと笑った。

「ね、嫌でしょ?ちょっとぐらい、いいから」

「はい…」

さすが親友であり恋のキューピット。

「はいできた」

「えっ、かわいい…!ありがと…!!」

「なんのなんの。今日は美織の専属スタイリストだからね」

満面の笑みで答える香苗。
いい友達を持ったな、と思った。

「さ、学校行くよ!」

「うん!」