「できたっ…!」

「よし、あとはラッピング選びだね」

バレンタイン前日。
香苗と一緒に、ちょっと濃厚な生チョコを作った。

「手伝ってくれて、ありがと」

「いや、あたしも彼に渡すやつできたし。こちらこそ」

「え、明日平日じゃん?会うの忙しくないの?」

「ん、なんかね、あっちの学校テスト週間で早帰りらしくて。こっち来てくれるって言ってた」

「いいね~遠いんだっけ?」

「ううん、隣の市だから電車で30分ぐらい?」

「そっか」

「てか早くラッピング選ぼーよ」

「あ、ごめん」

香苗はいくつかの箱やらリボンやらを手にもって、部屋へ戻ってきた。

「どれがいい?」

「んー…」

「好きな色聞いてみたら?」

「そうする」

インスタを開いて、先輩にメッセージを送る。

”先輩って、好きな色ありますか?”

一瞬で既読になった。そしてすぐに返事が来た。

「わ、返信早」

「ねえ、なんでー?だって」

「なんで?…え、めんどくさ」

”気になるからです!”

”んーじゃあ、もらってうれしいもの、何?”

”え、ハンカチとか、アクセサリーとかですかね、形が残るものが嬉しいです”

”おっけ!ありがと!”

「え」

”先輩、好きな色はなんですか?”

”青!”

「青だって」

”ありがとうございます”

「ん、じゃあ青色のリボンね」

「ありがと!」



香苗に教えてもらいながら、可愛く、丁寧にラッピングした。
あとは、渡すのみ―

「先輩、喜んでくれるかなぁ」

「あの人なら喜ぶんじゃない?」

「そうかなぁ…告白、なんて言おう…!!か、かなえぇーーー」

私が香苗に泣きつくと、

「そういうのは自分で考えな。なんでもあたしに聞くんじゃないの」

と見事に一蹴された。

どうしよう。なんて言おう。
ストレートに、好きです、でいいのかな…
爽やかな笑顔が大好きなんですなんて言ったら重いよね…!
うーん…

「あーっ!もう、わかんないっっ!!」

悩んでも悩んでも、ぐるぐると言葉が頭の中で回るばかりで、答えは決められなかった。

「素直に、好きです、でいいじゃん」

見かねた香苗が助け舟を出してくれた。

「それでいいよね…?」

もはや半泣きの私に、にかっと香苗が笑って、私を元気づけてくれる。

「大丈夫大丈夫。好きっていっときゃ、男子なんてイチコロなんだから」

「うん…わかった。最後までありがとね、香苗」

「お礼なんていいよ。頑張ってね」

「うん!」