電話の相手は七海のお父さんだった。

おじさんが何で私に……?


「あ、えっと、こんにちは。……あの、どうかしましたか?」

『柚乃ちゃん……落ち着いて聞いて欲しい。……七海がお風呂場で手首を切った状態で発見されたんだ……』

「えっ……?」


七海が……何?

今、お風呂場で手首を切った状態で発見されたって聞こえたような……?


『大事な話があるから今日の午前中に実家に帰ってくるって言ってたんだ。でも、昼頃になっても帰ってこなくて。連絡しても七海に繋がらなくて。さっき、マンションに様子を見に来たら、七海が……』


おじさんの声がつまる。

突然の事で何がなんなのかわからず、私は言葉が全く出てこなかった。


「……そ、そんなのは何かの間違いじゃ……?だって、七海は……」


彼にプロポーズされたって嬉しそうに昨日の夜、報告してくれたし。

手首を切るとか、そんな……。


「七海は無事ですよね?!どこの病院に運ばれましたか?!私、今から……」

『七海は、すでに亡くなった状態で発見されたんだ』


震えるおじさんの声に、私は目の前が真っ暗になった。