「……あれ、充電切れてる」


ベッドのサイドボードにあったスマホを手にして、充電が切れている事に気付いたのはお昼過ぎだった。

いつもなら充電して寝るはずなのに、それすらしなかったのは、仕事が休みだという事と、睡魔に勝てなかったから。

昨日は七海と終電まで飲んで盛り上がっていたから、いつもよりアルコールの量が多かったと思う。

だって、親友がプロポーズされただなんて、自分の事のように嬉しいし。

結婚したらどんな家庭を築くとか、仕事はできれば続けたいとか……明るい未来を想像して話していた七海は本当に幸せそうだった。

寂しくなっちゃうと思った事は反省しなければならない。

……もちろん、寂しいより嬉しい気持ちの方が勝つし。


「……うん?」


充電ケーブルにつないでから少しして着信音が鳴った。

ディスプレイには知らない番号が表示されている。

誰……だろう?

首を傾げながら、通話ボタンをタップした。


「もしもし……?」

『……あ、柚乃ちゃん?七海の父です』

「えっ?」