いつも学校には、妹の護衛のごとく2人で登校させられる。
2人の共通点といえば、親から恋をする許可をもらっていないことだった。
妹は大切にされているから。真優はどうしてだかはわからない。
「ねぇ、お姉ちゃん?」
「な、なぁに……?」
「きゃっ!」
雛乃の方を向かされた瞬間、転ばれてしまった。
「だっ、大丈夫!?」
急いで駆け寄る。真優のか細い心配する声に気がついた周りの学生たちも、心配そうに近づいてきていた。
それもそのはず。雛乃はとても容姿がよく、モテていたのだ。
「お、お姉ちゃんが間違えて足を引っ掛けちゃったみたい……でも大丈夫、そんなに怪我はしてないから」
「間違えてって……そんなはず、ないだろ」
「そうだよ!きっと、雛乃ちゃんが嫌いだからやったんだ」
「え……?」
気がつけば、幼稚園生の頃も小学生の頃も中学生の頃も今も、みんながみんな自分のことを悪者にして、省かれていた。
「……っ」
あまりに冷たい目を向けられて、その場から走って立ち去った。
いつもそうだ。なんと言おうと、みんな雛乃が正しいと信じる。
だけど信じている。いつか、自分の目の前に番様が現れて、幸せにしてくれるって。
そして、1週間後はあやかしがかくりよに降りて来る、10年に一度の日でもあった。
まだ番のいないあやかしたちが、人間をもらいにくるのだ。
少し、期待してしまっていた。
教室でぽつり、1人で席に座る。
「……ねぇ、君真優ちゃんだよね」
「えっ?あ、えっと……」
男性と関わることは禁止されているため、名前すら知らない隣の席の男の子。
というか、こんな綺麗な顔をしていたのだろうか。
「僕は由良だよ。よろしくね」
「あ、あの……私とあんまり、話さない方がいいですよ……?」
「なんで」
「だ、だって……」
「ああー!お姉ちゃん男の子と喋ってるー!」
そう言って由良に近づく雛乃。内心、焦りが止まらない真優。
少し喋っているところを見られてしまった。このまま帰ったら、また両親に叩かれたり殴られたりするかもしれない。
特に父親は恐ろしく、怒らせたら大変なことになる。
下手したらもう生きられないかもしれない。
「由良くん、どうしたの?由良くんが喋るのなんて珍しいねっ」
「……」
由良は無視を貫いた。まるで、真優にしか興味がないと言わんばかりに。
というか、やはり由良なんて男の子、いなかったような気がする。
「……帰る、またね、真優」
「えっ……あっ……」
ポンポンと頭を撫でられて、由良は去って行ってしまった。
黒髪に赤い目が特徴的な彼は、なんだか不思議な感じがする。
そして、彼がいなくなった途端、雛乃の様子が変わったのだ。
「……あ、れ?なんでこんな角の席に……」
2人の共通点といえば、親から恋をする許可をもらっていないことだった。
妹は大切にされているから。真優はどうしてだかはわからない。
「ねぇ、お姉ちゃん?」
「な、なぁに……?」
「きゃっ!」
雛乃の方を向かされた瞬間、転ばれてしまった。
「だっ、大丈夫!?」
急いで駆け寄る。真優のか細い心配する声に気がついた周りの学生たちも、心配そうに近づいてきていた。
それもそのはず。雛乃はとても容姿がよく、モテていたのだ。
「お、お姉ちゃんが間違えて足を引っ掛けちゃったみたい……でも大丈夫、そんなに怪我はしてないから」
「間違えてって……そんなはず、ないだろ」
「そうだよ!きっと、雛乃ちゃんが嫌いだからやったんだ」
「え……?」
気がつけば、幼稚園生の頃も小学生の頃も中学生の頃も今も、みんながみんな自分のことを悪者にして、省かれていた。
「……っ」
あまりに冷たい目を向けられて、その場から走って立ち去った。
いつもそうだ。なんと言おうと、みんな雛乃が正しいと信じる。
だけど信じている。いつか、自分の目の前に番様が現れて、幸せにしてくれるって。
そして、1週間後はあやかしがかくりよに降りて来る、10年に一度の日でもあった。
まだ番のいないあやかしたちが、人間をもらいにくるのだ。
少し、期待してしまっていた。
教室でぽつり、1人で席に座る。
「……ねぇ、君真優ちゃんだよね」
「えっ?あ、えっと……」
男性と関わることは禁止されているため、名前すら知らない隣の席の男の子。
というか、こんな綺麗な顔をしていたのだろうか。
「僕は由良だよ。よろしくね」
「あ、あの……私とあんまり、話さない方がいいですよ……?」
「なんで」
「だ、だって……」
「ああー!お姉ちゃん男の子と喋ってるー!」
そう言って由良に近づく雛乃。内心、焦りが止まらない真優。
少し喋っているところを見られてしまった。このまま帰ったら、また両親に叩かれたり殴られたりするかもしれない。
特に父親は恐ろしく、怒らせたら大変なことになる。
下手したらもう生きられないかもしれない。
「由良くん、どうしたの?由良くんが喋るのなんて珍しいねっ」
「……」
由良は無視を貫いた。まるで、真優にしか興味がないと言わんばかりに。
というか、やはり由良なんて男の子、いなかったような気がする。
「……帰る、またね、真優」
「えっ……あっ……」
ポンポンと頭を撫でられて、由良は去って行ってしまった。
黒髪に赤い目が特徴的な彼は、なんだか不思議な感じがする。
そして、彼がいなくなった途端、雛乃の様子が変わったのだ。
「……あ、れ?なんでこんな角の席に……」