今年も私は正月に帰省しました。千歳空港を出て一番最初にお迎えしてくれたのは、雪の妖精さんでした。東京では滅多に会う事が出来ない雪の妖精さんとの再会に、私の口元は思わず綻びます。
「久しぶりね。元気にしてた」
声をかけると、雪の妖精さんは嬉しそうに、私の周りをクルクルと飛び回ります。優しく撫でると、雪の妖精さんは嬉しそうに破顔します。
「その笑顔、プライスレス!」
まあ、叫びたくもなりますよ。この可愛い笑顔を見せてあげたい位です。
私の実家が有る街は太平洋岸に面し、日本海や内陸部と比べ積雪量は少なめです。その代わりに氷都と呼ばれ、スケートが盛んです。二月初旬に行われる祭りで提供される、しばれ焼きは絶品です。絶対お勧めします。是非一度食べてみて下さい。
ちなみにしばれ焼きとは、冬の寒い屋外でドラム缶を利用して作る、ジンギスカン料理です。痛い程に肌を突き刺す寒さの屋外で食べるジンギスカンは、身も心も温めてくれます。羊の肉が嫌いって人でも、その美味しさに頬を緩めるでしょう。
冬期限定なので、知られざる故郷のB級グルメ。しかし、どのB級グルメにも引けを取らない、名物料理です。
さて、今回の帰省で新たにお友達が増えました。雪の妖精さんと、とっても仲良しの妖精さん。なんんと氷の妖精さんです。
なんて事も無い妖精さんだとお思いでしょう。まぁ凍らせる事が生きがいの妖精さんですし、その通りかもしれませんけど。氷の妖精さんの特筆すべき所は、なんと言ってもその体です。クリスタルの様な体はとても美しく、光が当たるとキラキラと輝きます。芸術品の様な妖精さんです。
氷の妖精さんを始めて見た時は、寒さも忘れて暫く見入ってしまいました。じっと見てる私の顔を氷の妖精さんが覗き込んだ時に、ふと我に返りました。
私が撫でると、氷の妖精さんは嬉しそうにゆらゆらと揺れます。氷の妖精さんは、とても冷たいけれどスベスベでした。
当然二人の妖精さんと遊びました。
内地と違い実家の辺りでは、極太のつららが出来ます。子供の腕より太いつららは、自重に耐えきれず偶に降ってきます。なので軒下に居ると意外と危険なのです。
その日は、落ちているつららを使って、氷の妖精さんがミニサイズの氷像を作ってくれました。氷の妖精さんは芸術的感性が高い様です。
色々な動物の氷像が次々と並べられて行きます。負けじと、雪の妖精さんが雪像を量産して行きます。実家近くの公園は、ミニ雪まつり会場になりました。
私もちゃんと作りました。でも、私ではせいぜい雪ウサギが精一杯で、しょげていると氷の妖精さんが頭を撫でて慰めてくれました。可愛いですねこの子。連れて帰りたい!
妖精さん達と遊びまくった翌朝、もう一度公園に行くと人だかりが出来ていました。そりゃそうですよ。いきなり近所の公園がミニ雪まつり会場になっていればね。
近所の人達が、驚きと歓声を上げます。子供達はホッケーもせずに、キャーキャーと奇声を上げてました。案外私の雪ウサギも子供達に人気があったみたいです。
私が作った物が「可愛い~」って言われれば、嬉しくなりますね。ちゃんとスマホで写真を撮ったので、裕子ちゃん達に見せびらかせてあげよう。
「あなた達が作ったのが、大人気みたいだよ」
私が声をかけると、妖精さん達が嬉しそうにはしゃぎ始めます。
「その位にして、他の広場にも行ってみない?」
はしゃぎ過ぎて大雪になっても困るので、少し宥めて別の広場に行きます。私は妖精さん達と、氷像や雪像を作って遊びます。実は帰省中に三か所の公園を、ミニ雪まつり会場にしました。
「相変わらずせわしない子だべ。正月くらい家でゆっくりすれば良いっしょ」
母に小言を言われましたけど、きっと仕方ない事なんです。妖精さん達と遊んでいるのは、とっても楽しいんですから。お子様だって? 余計なお世話ですよ!
東京に戻った後で知ったんですが、私と妖精さん達がやらかした出来事が、地元ニュースに取り上げられたみたいです。
「あんたっしょ!」
「幸子ちゃん、なした?」
「はんかくさ、ニュースっしょ。したっけ、あんなん作んのはあんたしか居ないしょ」
高校の友人から電話がかかって来た時は驚きました。ミニ雪まつり会場にした三か所の公園は、連日大賑わいで屋台も出たとか。幸子ちゃん、TV局に私の事をリークしないでね。お願いだよ!
そんなこんなで忙しなく過ぎた私の帰省です。そして自宅のドアを開けると、沢山の妖精さん達がお出迎えしてくれました。
わぁ~と一斉に私に群がって来る妖精さん達を見ると、家に帰って来たという安心感が溢れて来ます。
「ただいま」
その一言だけで、妖精さん達はニコニコの笑顔で集まってくれます。私は幸せ者です。
ただ、一つ予想外だったのが着いて来てしまった事です。何がって、氷の妖精さんがですよ。びっくりしましたよ。実際事件が起こりました。
うっかり火の妖精さんが近寄って、氷の妖精さんが溶けかけたんです。私は氷の妖精さんを慌てて冷凍庫に放り込みました。
現在、氷の妖精さんは冷凍庫で暮らしています。こっそり冷凍庫を開けると、氷の妖精さんはダンスをしています。
相変わらず、クリスタルの様な美しい体をキラキラさせています。その様子を眺める事が、私の楽しみの一つになりました。
「久しぶりね。元気にしてた」
声をかけると、雪の妖精さんは嬉しそうに、私の周りをクルクルと飛び回ります。優しく撫でると、雪の妖精さんは嬉しそうに破顔します。
「その笑顔、プライスレス!」
まあ、叫びたくもなりますよ。この可愛い笑顔を見せてあげたい位です。
私の実家が有る街は太平洋岸に面し、日本海や内陸部と比べ積雪量は少なめです。その代わりに氷都と呼ばれ、スケートが盛んです。二月初旬に行われる祭りで提供される、しばれ焼きは絶品です。絶対お勧めします。是非一度食べてみて下さい。
ちなみにしばれ焼きとは、冬の寒い屋外でドラム缶を利用して作る、ジンギスカン料理です。痛い程に肌を突き刺す寒さの屋外で食べるジンギスカンは、身も心も温めてくれます。羊の肉が嫌いって人でも、その美味しさに頬を緩めるでしょう。
冬期限定なので、知られざる故郷のB級グルメ。しかし、どのB級グルメにも引けを取らない、名物料理です。
さて、今回の帰省で新たにお友達が増えました。雪の妖精さんと、とっても仲良しの妖精さん。なんんと氷の妖精さんです。
なんて事も無い妖精さんだとお思いでしょう。まぁ凍らせる事が生きがいの妖精さんですし、その通りかもしれませんけど。氷の妖精さんの特筆すべき所は、なんと言ってもその体です。クリスタルの様な体はとても美しく、光が当たるとキラキラと輝きます。芸術品の様な妖精さんです。
氷の妖精さんを始めて見た時は、寒さも忘れて暫く見入ってしまいました。じっと見てる私の顔を氷の妖精さんが覗き込んだ時に、ふと我に返りました。
私が撫でると、氷の妖精さんは嬉しそうにゆらゆらと揺れます。氷の妖精さんは、とても冷たいけれどスベスベでした。
当然二人の妖精さんと遊びました。
内地と違い実家の辺りでは、極太のつららが出来ます。子供の腕より太いつららは、自重に耐えきれず偶に降ってきます。なので軒下に居ると意外と危険なのです。
その日は、落ちているつららを使って、氷の妖精さんがミニサイズの氷像を作ってくれました。氷の妖精さんは芸術的感性が高い様です。
色々な動物の氷像が次々と並べられて行きます。負けじと、雪の妖精さんが雪像を量産して行きます。実家近くの公園は、ミニ雪まつり会場になりました。
私もちゃんと作りました。でも、私ではせいぜい雪ウサギが精一杯で、しょげていると氷の妖精さんが頭を撫でて慰めてくれました。可愛いですねこの子。連れて帰りたい!
妖精さん達と遊びまくった翌朝、もう一度公園に行くと人だかりが出来ていました。そりゃそうですよ。いきなり近所の公園がミニ雪まつり会場になっていればね。
近所の人達が、驚きと歓声を上げます。子供達はホッケーもせずに、キャーキャーと奇声を上げてました。案外私の雪ウサギも子供達に人気があったみたいです。
私が作った物が「可愛い~」って言われれば、嬉しくなりますね。ちゃんとスマホで写真を撮ったので、裕子ちゃん達に見せびらかせてあげよう。
「あなた達が作ったのが、大人気みたいだよ」
私が声をかけると、妖精さん達が嬉しそうにはしゃぎ始めます。
「その位にして、他の広場にも行ってみない?」
はしゃぎ過ぎて大雪になっても困るので、少し宥めて別の広場に行きます。私は妖精さん達と、氷像や雪像を作って遊びます。実は帰省中に三か所の公園を、ミニ雪まつり会場にしました。
「相変わらずせわしない子だべ。正月くらい家でゆっくりすれば良いっしょ」
母に小言を言われましたけど、きっと仕方ない事なんです。妖精さん達と遊んでいるのは、とっても楽しいんですから。お子様だって? 余計なお世話ですよ!
東京に戻った後で知ったんですが、私と妖精さん達がやらかした出来事が、地元ニュースに取り上げられたみたいです。
「あんたっしょ!」
「幸子ちゃん、なした?」
「はんかくさ、ニュースっしょ。したっけ、あんなん作んのはあんたしか居ないしょ」
高校の友人から電話がかかって来た時は驚きました。ミニ雪まつり会場にした三か所の公園は、連日大賑わいで屋台も出たとか。幸子ちゃん、TV局に私の事をリークしないでね。お願いだよ!
そんなこんなで忙しなく過ぎた私の帰省です。そして自宅のドアを開けると、沢山の妖精さん達がお出迎えしてくれました。
わぁ~と一斉に私に群がって来る妖精さん達を見ると、家に帰って来たという安心感が溢れて来ます。
「ただいま」
その一言だけで、妖精さん達はニコニコの笑顔で集まってくれます。私は幸せ者です。
ただ、一つ予想外だったのが着いて来てしまった事です。何がって、氷の妖精さんがですよ。びっくりしましたよ。実際事件が起こりました。
うっかり火の妖精さんが近寄って、氷の妖精さんが溶けかけたんです。私は氷の妖精さんを慌てて冷凍庫に放り込みました。
現在、氷の妖精さんは冷凍庫で暮らしています。こっそり冷凍庫を開けると、氷の妖精さんはダンスをしています。
相変わらず、クリスタルの様な美しい体をキラキラさせています。その様子を眺める事が、私の楽しみの一つになりました。