最近、DIYが流行ってるみたいですね。これは『Do it yourself』つまり自分で色々やる事を意味している様です。博識でしょ? なんて、そんな言葉の意味は、結構どうでもいいんです。
最近、うちに住み着いた新しい妖精さんがいます。と~っても便利な子ですよ。ただね、いくら便利だからって、放置してはいけません。だって、妖精さんってば楽しいに全力なんですもん。
さて、その妖精さんは早速やらかしました。
私の自宅は賃貸なんですよ。まぁ当然ですが、アメリカみたいに、改造オッケーな賃貸では無いんです。勝手にカスタマイズしてはいけないんです。退去する時に、原状回復費とか求められちゃうんです。
ある日、自宅に帰ると変わり果てた内装に私は腰を抜かしました。
材料が無くても、妖精さんは色んな物が作れるかって? いやですね。そんなの、ファンタジーじゃないですか。
なら材料はどうしたって? 原因はあいつですよ、あいつ。裕子ちゃんです。実はちょびっとわたしも……。
「こんど棚とか色々作るから、あんた買物に付き合いなさいよ」
「そう言って人頼みの癖に。忙しい私をこき使う癖に」
「当たり前でしょ。あんたの食費は、ほとんど私が出してるのよ。手伝い位しなさいよ」
こんな事を本気で言うのは、裕子ちゃん位ですよ、多分ですけど。買ってきた食材を調理してるのは、お料理の妖精さんですし。
裕子ちゃんのお部屋が、ばっちくならない様に綺麗にしてるのは、お掃除の妖精さんですよ。裕子ちゃんには、感謝の気持ちを教えてあげたいです。
そんなこんなで車に放り込まれて、ホームセンターに連れて行かれました。まぁ、私もホームセンターは好きだから、良いんですけどね。何だかんだで私はウキウキしながら、ホームセンターの中を物色しました。
ハイ。この時点で、気が付いていれば良かったです。いえ、危険予測の妖精さんが、何か言ってた気がします。ちゃんと、話しを聞いておけば良かったんです。
裕子ちゃんはネットで見たDIYの棚を作りたい様で、木材やら簀やらの材料を始め、釘やトンカチ等の工具も購入していきます。ところで、ペンキやニスは何に使うんだろう。しかもそんなに沢山の色を揃えちゃって。
私達が乗って来た車は軽自動車なので、購入した材料は後日配達して貰う事になりました。にしても、裕子ちゃん買い過ぎじゃないって位の、材料を購入しました。
配達して貰うにしても、材料で部屋がパンパンになりますよ。どうせ、裕子ちゃんの部屋は、ただの寝室みたいなもんですから。私の部屋に押しかけて寝る事も、想定済みなんでしょうね。
それにしても、ホームセンターには色んなものが有って楽しいですね。裕子ちゃんから、棚の画像を見せられて、私も作りたくなっちゃいました。
そして、工具のコーナーを物色していた時です、現れちゃいました、新しい妖精さん。
自分の身体より大きなトンカチを、軽々と振り回しています。リアルなポルターガイストを阻むため、私は慌てて妖精さんを止めました。
「駄目よ。人が見たら、びっくりしちゃう」
妖精さんは、頭をコクコクと動かして頷きました。理解の良い妖精さんで、良かった。
「ところで、あなたは何の妖精さん?」
妖精さんは、笑顔で工具を指さします。あ~、わかりましたよ。この子は、物作りが得意な妖精さんなんですね。作業着を着てますしね、そういうことなんですよ。
それにしても、凄いタイミングですね。もしかして裕子ちゃんって案外、妖精さんに愛されてるのかしら。な訳ないか……。
原因は明らかに私ですね。私のウキウキに反応して出てきちゃったんですよ、きっと。
ホームセンターを出た後は、雑貨屋さんとか生地屋さん、手芸屋さんを巡りました。ファブリック柄の布やモノトーンの布などを、裕子ちゃんは色々買いました。
「ねぇ裕子ちゃん。お金足りるの?」
「引っ越しの祝儀的なやつよ。お父さんからふんだくったの」
聞きました? ふんだくったですって。裕子ちゃんのお父さん、可愛そうに。
ちなみに、私も買っちゃいました。剥がせるタイプの壁紙とウォールステッカー、後はパステル柄の布です。清水の舞台で、えいってジャンプした気分です。
いやまぁ、本当に飛び降りたら怪我するでしょ! 実際には、私の代わりにバイト代が飛んでいきましたけどね。
肩の上では、新しい妖精さんが躍っています。何が嬉しいんでしょうか。この笑顔を見ていたら、ハプニングの予感はあんまりしないんですね。まぁ、それが油断なんでしたよ。後から思えばって所ですけど。
自宅に戻ると、新しい妖精さんは部屋を物色しています。時折、ムムって考え込む様な仕草もしています。私は放置して、ペチ達と戯れました。
私が帰ると子猫たちがじゃれついてきます。う~ん、至福の一時ですね。結局その日は特に何も起きず、音楽の妖精さんのヒーリングミュージックで、私は眠りにつきました。
実はこの時、事態は進行していた様です。私が眠った後に、妖精さん達の会議が始まったらしいです。後日、危険予測の妖精さんが教えてくれました。
何も知らない私は朝食を食べた後、いつも通りに大学へ行きました。夕方からバイトが入っているので「帰りは少し遅くなる」とお料理の妖精さんに伝えて。
講義に出て、夕方からバイトで入力作業をして、かなり疲れた私は家路につきます。
鍵を開け、部屋に入った瞬間でした。私は目を疑いました。確か壁紙は、白っぽい色だったはず。部屋の一部が薄いブルーに変わってます。ウォールステッカーが、とても良いアクセントになってます。
「あれっ、これ昨日買った、剥がせるタイプの壁紙だ」
変化が壁紙だけなら、それほど驚きはしないですよ。模様替えどころか、リフォームに近い事が行われていました。
淡いブルーを基調にして、クッションやベッドがリメイクされてます。私が本棚に利用していた安い木の棚が組み直されて、梯子型のオシャレな棚に改造されてます。
そこまではいいんです。「すご~い!」で済むんです。
所々にウォールラックが打ち付けられて、小物が並べられています。おまけに、大きなファブリックパネルがで~んって。
「ね、ねぇここ賃貸なんだよ! 釘とか打ったら駄目なんだよ!」
妖精さんは、とっても良い笑顔でサムズアップしてます。やり切った顔をしています。私は、びっくりして暫く腰を抜かしてました。
「この部屋出る時は、どうするのさ」
妖精さんは力こぶを作って、私にアピールしていました。「原状回復なんて楽勝!」ですか、そうですか。まぁ、そこまでしてくれるなら、何も文句は無いんですけど。
新しくなった部屋に、他の妖精さん達は大喜びです。因みにその夜は、新しい妖精さんの歓迎会になりました。新しい妖精さんの名前は、DIYの妖精さん。命名は、いつも通り私です。
裕子ちゃんはと言うと、途中で飽きちゃったみたいで、DIYの妖精さんが後を引き継ぎました。DIYの妖精さんは残った材料で、私の部屋を更に魔改造しました。困った子です。
結局私の部屋は、北欧風の部屋にリフォームされちゃいました。因みに、DIYの妖精さん謹製のキャットタワーは、ペチ達に大人気です。
最近、うちに住み着いた新しい妖精さんがいます。と~っても便利な子ですよ。ただね、いくら便利だからって、放置してはいけません。だって、妖精さんってば楽しいに全力なんですもん。
さて、その妖精さんは早速やらかしました。
私の自宅は賃貸なんですよ。まぁ当然ですが、アメリカみたいに、改造オッケーな賃貸では無いんです。勝手にカスタマイズしてはいけないんです。退去する時に、原状回復費とか求められちゃうんです。
ある日、自宅に帰ると変わり果てた内装に私は腰を抜かしました。
材料が無くても、妖精さんは色んな物が作れるかって? いやですね。そんなの、ファンタジーじゃないですか。
なら材料はどうしたって? 原因はあいつですよ、あいつ。裕子ちゃんです。実はちょびっとわたしも……。
「こんど棚とか色々作るから、あんた買物に付き合いなさいよ」
「そう言って人頼みの癖に。忙しい私をこき使う癖に」
「当たり前でしょ。あんたの食費は、ほとんど私が出してるのよ。手伝い位しなさいよ」
こんな事を本気で言うのは、裕子ちゃん位ですよ、多分ですけど。買ってきた食材を調理してるのは、お料理の妖精さんですし。
裕子ちゃんのお部屋が、ばっちくならない様に綺麗にしてるのは、お掃除の妖精さんですよ。裕子ちゃんには、感謝の気持ちを教えてあげたいです。
そんなこんなで車に放り込まれて、ホームセンターに連れて行かれました。まぁ、私もホームセンターは好きだから、良いんですけどね。何だかんだで私はウキウキしながら、ホームセンターの中を物色しました。
ハイ。この時点で、気が付いていれば良かったです。いえ、危険予測の妖精さんが、何か言ってた気がします。ちゃんと、話しを聞いておけば良かったんです。
裕子ちゃんはネットで見たDIYの棚を作りたい様で、木材やら簀やらの材料を始め、釘やトンカチ等の工具も購入していきます。ところで、ペンキやニスは何に使うんだろう。しかもそんなに沢山の色を揃えちゃって。
私達が乗って来た車は軽自動車なので、購入した材料は後日配達して貰う事になりました。にしても、裕子ちゃん買い過ぎじゃないって位の、材料を購入しました。
配達して貰うにしても、材料で部屋がパンパンになりますよ。どうせ、裕子ちゃんの部屋は、ただの寝室みたいなもんですから。私の部屋に押しかけて寝る事も、想定済みなんでしょうね。
それにしても、ホームセンターには色んなものが有って楽しいですね。裕子ちゃんから、棚の画像を見せられて、私も作りたくなっちゃいました。
そして、工具のコーナーを物色していた時です、現れちゃいました、新しい妖精さん。
自分の身体より大きなトンカチを、軽々と振り回しています。リアルなポルターガイストを阻むため、私は慌てて妖精さんを止めました。
「駄目よ。人が見たら、びっくりしちゃう」
妖精さんは、頭をコクコクと動かして頷きました。理解の良い妖精さんで、良かった。
「ところで、あなたは何の妖精さん?」
妖精さんは、笑顔で工具を指さします。あ~、わかりましたよ。この子は、物作りが得意な妖精さんなんですね。作業着を着てますしね、そういうことなんですよ。
それにしても、凄いタイミングですね。もしかして裕子ちゃんって案外、妖精さんに愛されてるのかしら。な訳ないか……。
原因は明らかに私ですね。私のウキウキに反応して出てきちゃったんですよ、きっと。
ホームセンターを出た後は、雑貨屋さんとか生地屋さん、手芸屋さんを巡りました。ファブリック柄の布やモノトーンの布などを、裕子ちゃんは色々買いました。
「ねぇ裕子ちゃん。お金足りるの?」
「引っ越しの祝儀的なやつよ。お父さんからふんだくったの」
聞きました? ふんだくったですって。裕子ちゃんのお父さん、可愛そうに。
ちなみに、私も買っちゃいました。剥がせるタイプの壁紙とウォールステッカー、後はパステル柄の布です。清水の舞台で、えいってジャンプした気分です。
いやまぁ、本当に飛び降りたら怪我するでしょ! 実際には、私の代わりにバイト代が飛んでいきましたけどね。
肩の上では、新しい妖精さんが躍っています。何が嬉しいんでしょうか。この笑顔を見ていたら、ハプニングの予感はあんまりしないんですね。まぁ、それが油断なんでしたよ。後から思えばって所ですけど。
自宅に戻ると、新しい妖精さんは部屋を物色しています。時折、ムムって考え込む様な仕草もしています。私は放置して、ペチ達と戯れました。
私が帰ると子猫たちがじゃれついてきます。う~ん、至福の一時ですね。結局その日は特に何も起きず、音楽の妖精さんのヒーリングミュージックで、私は眠りにつきました。
実はこの時、事態は進行していた様です。私が眠った後に、妖精さん達の会議が始まったらしいです。後日、危険予測の妖精さんが教えてくれました。
何も知らない私は朝食を食べた後、いつも通りに大学へ行きました。夕方からバイトが入っているので「帰りは少し遅くなる」とお料理の妖精さんに伝えて。
講義に出て、夕方からバイトで入力作業をして、かなり疲れた私は家路につきます。
鍵を開け、部屋に入った瞬間でした。私は目を疑いました。確か壁紙は、白っぽい色だったはず。部屋の一部が薄いブルーに変わってます。ウォールステッカーが、とても良いアクセントになってます。
「あれっ、これ昨日買った、剥がせるタイプの壁紙だ」
変化が壁紙だけなら、それほど驚きはしないですよ。模様替えどころか、リフォームに近い事が行われていました。
淡いブルーを基調にして、クッションやベッドがリメイクされてます。私が本棚に利用していた安い木の棚が組み直されて、梯子型のオシャレな棚に改造されてます。
そこまではいいんです。「すご~い!」で済むんです。
所々にウォールラックが打ち付けられて、小物が並べられています。おまけに、大きなファブリックパネルがで~んって。
「ね、ねぇここ賃貸なんだよ! 釘とか打ったら駄目なんだよ!」
妖精さんは、とっても良い笑顔でサムズアップしてます。やり切った顔をしています。私は、びっくりして暫く腰を抜かしてました。
「この部屋出る時は、どうするのさ」
妖精さんは力こぶを作って、私にアピールしていました。「原状回復なんて楽勝!」ですか、そうですか。まぁ、そこまでしてくれるなら、何も文句は無いんですけど。
新しくなった部屋に、他の妖精さん達は大喜びです。因みにその夜は、新しい妖精さんの歓迎会になりました。新しい妖精さんの名前は、DIYの妖精さん。命名は、いつも通り私です。
裕子ちゃんはと言うと、途中で飽きちゃったみたいで、DIYの妖精さんが後を引き継ぎました。DIYの妖精さんは残った材料で、私の部屋を更に魔改造しました。困った子です。
結局私の部屋は、北欧風の部屋にリフォームされちゃいました。因みに、DIYの妖精さん謹製のキャットタワーは、ペチ達に大人気です。