皆さんは三月と言えば、何を思い浮かべますか? やっぱり卒業式が、一番じゃないですか?
私の自宅はご存知の通り、ワンルームなんですが、隣の住人さんが引っ越しました。なんでも、地元の九州で就職するそうです。いわゆるUターンってやつですね。
優しいお姉さんだったんですよ。ペチ達がニャーニャーうるさくしても、ウフフって笑って済ませてくれるんです。帰郷した時は、お土産の交換なんかもしたんですよ。いつも笑顔でおはようって挨拶してたのに、なんだか寂しくなりますね。
引っ越しする時に荷物の整理を手伝ったんですが、ちょっと泣いちゃいました。まあそんなこんなで、お隣さんが居ない状況でした。ちょっとの間だけでしたけど。何て言うか、空き家って直ぐに埋まっちゃうんですね。
気が付いたら、引っ越し屋さんが来てました。いつの間にって感じですけどね。どうか怖い人とか来ませんように。あと、ウェ~イって感じの人も。
だって苦手なんですよ、そういう男の人って。出来たらまた、優しい女の人がお隣さんだったら良いな。
そんな勝手な事を祈ってたら、もっとヤバイのがやって来ました。引っ越し屋さんの後につづいて現れた人影に、目を疑いたくなりました。筋肉むっきむきのおっちゃん達を引き連れて、あの子が隣の部屋に入って行くじゃないですか。テキパキと、指示してるじゃないですか。
いやいや違うよ、私の見間違いだよ。そうだよ。だってさぁ、あの子の実家は神奈川県なんだよ。実家から大学に通えるんだよ。なんで、引っ越してくるの?
「お~い!」
いや~、呼びかけないで!
「無視すんなし」
どこのギャルですかあなたは!
「びっくりしたでしょ!」
「ド、ドナタデスカ? ハジママシテ」
「何言ってんの、馬鹿なの?」
「馬鹿は、裕子ちゃんでしょ! 何してんの?」
「何って、引っ越してきたのよ」
よくわかりません。何で裕子ちゃんがここに引っ越してきたのでしょう。って、考えるまでも無かったですね。目的は妖精さんか……。そう言えば、何度かシェアハウスを借りようって誘われた気が……。断ったから、押しかけたという事なのね、ハァ。
あの子が仲良しを通り越して百合の方だったら、私は逃げてましたね。でも、あの子の目的は私じゃ無くて、妖精さん。特に、お料理とお掃除の妖精さんを狙ってます、きっと。
「せっかく、あんたとシェアハウスで暮らして、楽しようと思ってたのにさ、断るんだもん。あんたと暮らせば、美味しい料理が毎日食べ放題なんだよ」
聞きました? 本音が出ましたよ。
「だから、隣の部屋が空くのを待ってたの。不動産屋にもお願いしてあったのよ」
聞きました? いつからでしょう。ねらわれた隣の部屋ですね。
引っ越し屋さんが荷物を運び終わると、さっそく裕子ちゃんがほざきやがりました。
「じゃあ、掃除と片付けをよろしくね」
ほんと何を言ってるんでしょう、裕子ちゃんってば。チラッとお掃除の妖精さんを見ると、何だかやる気満々な感じです。
「あなた達ねぇ、ここで甘い顔したら、ずっとお掃除させられるのよ」
でも、お掃除の妖精さんは首を縦にブンブン振ってます。おぅ、なんてこった。お掃除の妖精さんったら、掃除が出来れば私の部屋じゃなくても楽しいのね。
「それで、これが引っ越し祝い用の食材ね!」
食材を見た瞬間に、お料理の妖精さんが踊り出しました。ヒャッホーって感じになってます。でも、包丁とかは振り回さないでね。危ないからさ。
まぁ流石と言うかなんと言うか。お掃除の妖精さんは、あっという間に荷物を片付けて、掃除を済ませちゃいました。裕子ちゃんってば、妖精さんを見えないはずなのに、どうやって指示したのかしら。
どうせ『お任せコース』くらいに考えてるんでしょうね。どこの棚に何が入ってるかわからずに、後で困れば良いんですよ。
私の部屋といえば、台所でお料理の妖精さんがフィーバーしてます。ただの引っ越し祝いとは思えない料理の数々が出来上がっています。すっごく楽しそうです。良いんですけどね、ハァ。
わたしはペチとじゃれてますか。
「ペチ~、君は良い子だね~」
「う~ん、可愛いね~」
「お~、モグ~。君もかわいいぞ~」
せっかくペチ達と遊び始めた所なのに、やはりあいつが邪魔してきます。
「んで、あんたは何してんのよ」
「いや~、なしてこんな事になったかと思ってるのさ」
「あ~、したっけ、したっけ」
確実に喧嘩売ってますね、裕子ちゃんめ。ほっぺを引っ張ってやろうかしら。ぐぬぬぬぬ。
「ほら、ぼけっとしてないで、飲むわよ! 料理は出来てるんでしょ?」
お料理の妖精さんを見ると、既に盛り付けまで終わっていました。おぉ! こっちも仕事が早いですね。一仕事終えて、とっても満足気な顔してます。
まぁ後はいつも通り、裕子ちゃんがひたすら飲んで食べて、おまけに私の部屋で寝ちゃいました。引っ越して来たんだから、自分の部屋に戻ればいいしょ。
このうるさい日々が続くって考えると、ちょっと頭痛くなります。妖精さん達が楽しそうにしてるし、私も別に嫌って訳じゃ無いし。お祭り騒ぎに付き合ってあげますか。
私の自宅はご存知の通り、ワンルームなんですが、隣の住人さんが引っ越しました。なんでも、地元の九州で就職するそうです。いわゆるUターンってやつですね。
優しいお姉さんだったんですよ。ペチ達がニャーニャーうるさくしても、ウフフって笑って済ませてくれるんです。帰郷した時は、お土産の交換なんかもしたんですよ。いつも笑顔でおはようって挨拶してたのに、なんだか寂しくなりますね。
引っ越しする時に荷物の整理を手伝ったんですが、ちょっと泣いちゃいました。まあそんなこんなで、お隣さんが居ない状況でした。ちょっとの間だけでしたけど。何て言うか、空き家って直ぐに埋まっちゃうんですね。
気が付いたら、引っ越し屋さんが来てました。いつの間にって感じですけどね。どうか怖い人とか来ませんように。あと、ウェ~イって感じの人も。
だって苦手なんですよ、そういう男の人って。出来たらまた、優しい女の人がお隣さんだったら良いな。
そんな勝手な事を祈ってたら、もっとヤバイのがやって来ました。引っ越し屋さんの後につづいて現れた人影に、目を疑いたくなりました。筋肉むっきむきのおっちゃん達を引き連れて、あの子が隣の部屋に入って行くじゃないですか。テキパキと、指示してるじゃないですか。
いやいや違うよ、私の見間違いだよ。そうだよ。だってさぁ、あの子の実家は神奈川県なんだよ。実家から大学に通えるんだよ。なんで、引っ越してくるの?
「お~い!」
いや~、呼びかけないで!
「無視すんなし」
どこのギャルですかあなたは!
「びっくりしたでしょ!」
「ド、ドナタデスカ? ハジママシテ」
「何言ってんの、馬鹿なの?」
「馬鹿は、裕子ちゃんでしょ! 何してんの?」
「何って、引っ越してきたのよ」
よくわかりません。何で裕子ちゃんがここに引っ越してきたのでしょう。って、考えるまでも無かったですね。目的は妖精さんか……。そう言えば、何度かシェアハウスを借りようって誘われた気が……。断ったから、押しかけたという事なのね、ハァ。
あの子が仲良しを通り越して百合の方だったら、私は逃げてましたね。でも、あの子の目的は私じゃ無くて、妖精さん。特に、お料理とお掃除の妖精さんを狙ってます、きっと。
「せっかく、あんたとシェアハウスで暮らして、楽しようと思ってたのにさ、断るんだもん。あんたと暮らせば、美味しい料理が毎日食べ放題なんだよ」
聞きました? 本音が出ましたよ。
「だから、隣の部屋が空くのを待ってたの。不動産屋にもお願いしてあったのよ」
聞きました? いつからでしょう。ねらわれた隣の部屋ですね。
引っ越し屋さんが荷物を運び終わると、さっそく裕子ちゃんがほざきやがりました。
「じゃあ、掃除と片付けをよろしくね」
ほんと何を言ってるんでしょう、裕子ちゃんってば。チラッとお掃除の妖精さんを見ると、何だかやる気満々な感じです。
「あなた達ねぇ、ここで甘い顔したら、ずっとお掃除させられるのよ」
でも、お掃除の妖精さんは首を縦にブンブン振ってます。おぅ、なんてこった。お掃除の妖精さんったら、掃除が出来れば私の部屋じゃなくても楽しいのね。
「それで、これが引っ越し祝い用の食材ね!」
食材を見た瞬間に、お料理の妖精さんが踊り出しました。ヒャッホーって感じになってます。でも、包丁とかは振り回さないでね。危ないからさ。
まぁ流石と言うかなんと言うか。お掃除の妖精さんは、あっという間に荷物を片付けて、掃除を済ませちゃいました。裕子ちゃんってば、妖精さんを見えないはずなのに、どうやって指示したのかしら。
どうせ『お任せコース』くらいに考えてるんでしょうね。どこの棚に何が入ってるかわからずに、後で困れば良いんですよ。
私の部屋といえば、台所でお料理の妖精さんがフィーバーしてます。ただの引っ越し祝いとは思えない料理の数々が出来上がっています。すっごく楽しそうです。良いんですけどね、ハァ。
わたしはペチとじゃれてますか。
「ペチ~、君は良い子だね~」
「う~ん、可愛いね~」
「お~、モグ~。君もかわいいぞ~」
せっかくペチ達と遊び始めた所なのに、やはりあいつが邪魔してきます。
「んで、あんたは何してんのよ」
「いや~、なしてこんな事になったかと思ってるのさ」
「あ~、したっけ、したっけ」
確実に喧嘩売ってますね、裕子ちゃんめ。ほっぺを引っ張ってやろうかしら。ぐぬぬぬぬ。
「ほら、ぼけっとしてないで、飲むわよ! 料理は出来てるんでしょ?」
お料理の妖精さんを見ると、既に盛り付けまで終わっていました。おぉ! こっちも仕事が早いですね。一仕事終えて、とっても満足気な顔してます。
まぁ後はいつも通り、裕子ちゃんがひたすら飲んで食べて、おまけに私の部屋で寝ちゃいました。引っ越して来たんだから、自分の部屋に戻ればいいしょ。
このうるさい日々が続くって考えると、ちょっと頭痛くなります。妖精さん達が楽しそうにしてるし、私も別に嫌って訳じゃ無いし。お祭り騒ぎに付き合ってあげますか。