引き取ってから毎日ずっと、食べたら寝て、ひたすら遊んだら寝て。同じ事を繰り返していて、飽きないのかな? 私の膝によじ登ろうと頑張っているペチを拾い上げて、じっと覗き込みました。

「ニャって鳴いても、君の言いたい事は、わからないんだよ」

 下手に話しが出来て、「何だコノヤローと」か言われても怖いですけどね。飼育の妖精さんが言うには、三匹とも私の事を気に入ってるっぽいです。
 たまにスリスリしてきたり、膝の上に乗ってくるのは、悪い気はしないですね。なんと言うか、ギュってしたくなります。

 今更ですけど、飼育の妖精さんったら、子猫達の言葉が解るみたいです。まぁ、それとなくですけど、そんな気はしてました。だって、鳴き声に頷いている時が有るんですもん。

 そんな訳で今回は、ペチ達は私が居ない間どう過ごしているのか、お教えしましょう。そしてゲストは、飼育の妖精さんです。よろしくお願いします。

 それぞれ性格が違いますから、私の見てる限りでも、別の行動をしてる時が多いらしいです。
 モグはとにかく食べる量が多いそうです。ミィやペチの分まで食べちゃう事もあります、ってそうなの? モグ、何してんのよ? その分、遊びまくってるから大丈夫? いや、そうじゃなくて、ミィとペチがお腹空いちゃうでしょ!
 猫ってほとんど寝てるもんだと、思っていたんですけどね。わんぱくな子ですね、モグって。

 ミィは朝ごはんを食べると、寝ちゃいます。ベランダに続くガラス戸の前、ここがミィの定位置です。この間、ちっちゃい座布団を買って窓際に置いときました。ウトウトしている姿も可愛いです。
 妖精さんが言うには、あんまり手のかからない子だそうです。良い子だね、ミィ。そのまま、賢く育ってね。

 ペチは朝ごはんを食べたら、部屋の中をお散歩します。大体コースが決まってます。うん、これは私も知ってる。ペチのお散歩コースに私が座ってると、私の膝によじ登って、乗り越えてくんですよ。たまに、外にもお散歩に。

「ってうぉ~い! まだ子猫なんだよ! ノラ君達にガブってされたら、可愛そうでしょ! 大丈夫だって? 何でよ!」

 そっか。ペチの外出には、妖精さんの誰かが必ず着いて行くんですって。主に風の妖精さんが着いて行くそうです。大丈夫かなぁ。
 ペチの外出には、ほぼモグも一緒だそうです。はいはい、もう驚かないですよ。モグなら、いつかやると思ってましたから。
 二匹で、ノラ君達の地域ネットワークに参加中だそうです。モグはその内、オヤビンになるね。

 ペチとモグがお外に行ってる間は、ミィはずっと寝てます。たまに起きて、部屋の中をウロウロしてるそうです。
 水の妖精さんにじゃれる事も有るみたいです。水の妖精さんは、フンって顔をしながら相手してるんでしょうね。このツンデレさんめ。

 夕方になってお腹が空いたころに、ペチとモグが戻って来ます。ミィがむくっと起きあがって、ミィミィ鳴いてお出迎えします。鳴いているミィに、ペチとモグが体をスリスリしたり、舐め舐めしたりするみたいです。

 意訳するとこんな感じです。
 
「またお外に行ってたの? 私も連れてってよ」
「ごめんね。だってミィ寝てたし」
「そうだよ。僕たちが遊びに行く時に、起きてれば良いんだよ」
「だって、眠かったんだもん。モグのばかぁ」
「怒らないでミィ。今度はちゃんと連れてくから」
「ほんとだよ。約束ね」
  
 置いてけぼりにした、ミィを二匹であやしてるんですね。なんだかんだで、仲のいい兄妹ですよ。
 
 お出かけしていた二匹が帰って来ると、お掃除の妖精さんが俄然張り切り出します。「泥だらけでは部屋には入れさせんぞ~」って所でしょうか。
 腕まくりして二匹に近寄り、ブラッシングの開始です。それ以外にも、床を掃いたり拭いたり、大忙しです。とは言え、嬉しそうな顔をしてるんですけど。

 そんなお掃除の妖精さんの後ろを、ミィがちょこちょこと着いていきます。まぁ、君はずっと寝てたしね。遊び足りないのかな?
 
 その内、お料理の妖精さんが、子猫達のご飯を用意してくれます。
 妖精さんお手製の時もありますが、大抵は私がスーパーで買って来た子猫用の猫缶かカリカリを、食べさせます。
 やっぱりガツガツ食べるのは、モグだそうです。ちょっと量を減らさないと、太るんじゃないの? そして食べたら寝ると、いい生活してるじゃないか、君達。
 
 三匹には、それぞれお気に入り場所が有るみたいで、お昼寝の場所取りで喧嘩になる事は、ほとんど無いです。
 ミィは窓際の座布団が、いちばんのお気に入りです。ペチは、なぜか私の机の上がお気に入りのようです。モグは私が愛用している、ふかふかクッションが、お気に入りみたいです
 でも、一番かわいいのは、三匹が一緒に寝てる時でしょうね。

 私が自宅に帰ると、たまにニャって鳴いてお出迎えしてくれます。可愛い子達ですよ。

 そう言えばあなた、飼育の妖精さんなのに、登場してなく無い? そんな時も有るって?
 まぁ、良いですよ。いつもお世話してくれてるのは、わかってますから。