体育祭。うちの学校は6月開催だ。
でも理解できない。梅雨時期なのになぜこの時期に開催しようと思ったんだろう。
案の定、今年予定されていた日程は雨で順延し、1週間後の開催となった。
1週間後の今日が晴れてよかったね、と思うしかない。
俺はそんなに運動が得意というほどでもないし(現に家業の手伝いメインの帰宅部だし)良くも悪くも目立ちたくなかったので、出場種目は集団競技の綱引きにして、体育祭の準備係は、Tシャツ作り、フラッグ作り、ダンス要員の3つの中から無難で人手の必要なTシャツ作りを選んだ。
チーム割は、3学年合同チームで、クラスごとに色が決められて分けられている。1年生は準備係の中で、ほとんどがTシャツ作りとフラッグ作りに要員を求められる。Tシャツデザインとフラッグデザインも配点対象となっているが、当日一発勝負のダンスは特に配点が高く、チームの得点源として重要な位置を占めることから、毎年ダンス要員は2年生と3年生が主に担当することになっていた。
1年生が出る場合は、ダンスがうまい精鋭隊かダンスが好きな人に限られているのが通常だ。何せ、ダンス衣装も自作で準備しないといけないし、ダンスの練習にも参加しないといけない。
俺は家業のバイトメインだったこともあり、とてもじゃないけど無理だと思った。来年と再来年どうしようと思いつつ、ダンス担当になった同じクラスメイトをある意味尊敬の念を込めた眼差しで眺めていた。
ちなみにうちの姉ちゃんはクラス内交渉がうまいので、今年もダンス担当を無事に外れたらしい。
梅雨時期だというのに、雲一つない晴れ日和だった。
俺はプログラム序盤にあった綱引きを難なくこなし、あとは人様の競技を眺めるだけの時間となっている。
体育祭は防犯上の理由(女子生徒の盗撮などが過去にあったらしい)で、関係者以外は立入禁止となっており、家族であっても1家族につき3名までと人数制限がされていたこともあってか、それまでに尚樹くんと体育祭の話はしていなかった。
実は、あいつがどの競技に出るんだろう?と、内心楽しみにしているのだ。
少なくとも、俺と同じ綱引きではなかったし、午前中のプログラムの中に彼が出ている気配はなかった。
これから午後のプログラムに入るが、昼休み後最初に行われるのは、ダンス競技となっていた。
最初は1組、尚樹くんのいるクラスからだ。
俺は、たぶんないだろうけど念のため・・・と思いながら、グラウンドに散らばったダンス競技者に目を凝らした。
い、いるー!
尚樹くんがグラウンドで踊っているのを見つけてしまった。
え、あいつダンス要員だったの?
じゃあ、ダンスの練習に参加していた?
あんなに平日のカフェにも来ていたのに?
一体いつ練習してた?
そうするとダンスが好きなタイプだったってこと?
頭の中が「?」マークでいっぱいになりつつも、次々踊りながら移動していく彼を必死で探す。
尚樹くんは、周りにいる人と比較しても、楽しそうにキレのあるダンスを颯爽と踊っていた。
そうか、彼はダンス精鋭隊の方だったのかと、その理由を悟った。
意外だったな。
彼の想定外のダンス出場に、俺はゾクッとしてなぜか落ち着かなかった。
体育祭が終わったら、それとなく本人に裏事情を聞いてやろうかなと考えたりして、何とかして自分の心を鎮めようと努めた。
全チームのダンス競技が終わり、得点が加算される。
ダンス競技の1位は1組、2位は6組、3位は4組だった。
ベスト3の得点が3位から発表され、その度にそのチームの応援席がワッと沸く。
1位の1組がアナウンスされた瞬間、俺はそっと隣の応援席にいる尚樹くんを盗み見た。
ひときわ大きな歓声が上がり、周りのクラスメイトと満面の笑みでハイタッチをする彼は、俺の知らない人に見えた。
でも理解できない。梅雨時期なのになぜこの時期に開催しようと思ったんだろう。
案の定、今年予定されていた日程は雨で順延し、1週間後の開催となった。
1週間後の今日が晴れてよかったね、と思うしかない。
俺はそんなに運動が得意というほどでもないし(現に家業の手伝いメインの帰宅部だし)良くも悪くも目立ちたくなかったので、出場種目は集団競技の綱引きにして、体育祭の準備係は、Tシャツ作り、フラッグ作り、ダンス要員の3つの中から無難で人手の必要なTシャツ作りを選んだ。
チーム割は、3学年合同チームで、クラスごとに色が決められて分けられている。1年生は準備係の中で、ほとんどがTシャツ作りとフラッグ作りに要員を求められる。Tシャツデザインとフラッグデザインも配点対象となっているが、当日一発勝負のダンスは特に配点が高く、チームの得点源として重要な位置を占めることから、毎年ダンス要員は2年生と3年生が主に担当することになっていた。
1年生が出る場合は、ダンスがうまい精鋭隊かダンスが好きな人に限られているのが通常だ。何せ、ダンス衣装も自作で準備しないといけないし、ダンスの練習にも参加しないといけない。
俺は家業のバイトメインだったこともあり、とてもじゃないけど無理だと思った。来年と再来年どうしようと思いつつ、ダンス担当になった同じクラスメイトをある意味尊敬の念を込めた眼差しで眺めていた。
ちなみにうちの姉ちゃんはクラス内交渉がうまいので、今年もダンス担当を無事に外れたらしい。
梅雨時期だというのに、雲一つない晴れ日和だった。
俺はプログラム序盤にあった綱引きを難なくこなし、あとは人様の競技を眺めるだけの時間となっている。
体育祭は防犯上の理由(女子生徒の盗撮などが過去にあったらしい)で、関係者以外は立入禁止となっており、家族であっても1家族につき3名までと人数制限がされていたこともあってか、それまでに尚樹くんと体育祭の話はしていなかった。
実は、あいつがどの競技に出るんだろう?と、内心楽しみにしているのだ。
少なくとも、俺と同じ綱引きではなかったし、午前中のプログラムの中に彼が出ている気配はなかった。
これから午後のプログラムに入るが、昼休み後最初に行われるのは、ダンス競技となっていた。
最初は1組、尚樹くんのいるクラスからだ。
俺は、たぶんないだろうけど念のため・・・と思いながら、グラウンドに散らばったダンス競技者に目を凝らした。
い、いるー!
尚樹くんがグラウンドで踊っているのを見つけてしまった。
え、あいつダンス要員だったの?
じゃあ、ダンスの練習に参加していた?
あんなに平日のカフェにも来ていたのに?
一体いつ練習してた?
そうするとダンスが好きなタイプだったってこと?
頭の中が「?」マークでいっぱいになりつつも、次々踊りながら移動していく彼を必死で探す。
尚樹くんは、周りにいる人と比較しても、楽しそうにキレのあるダンスを颯爽と踊っていた。
そうか、彼はダンス精鋭隊の方だったのかと、その理由を悟った。
意外だったな。
彼の想定外のダンス出場に、俺はゾクッとしてなぜか落ち着かなかった。
体育祭が終わったら、それとなく本人に裏事情を聞いてやろうかなと考えたりして、何とかして自分の心を鎮めようと努めた。
全チームのダンス競技が終わり、得点が加算される。
ダンス競技の1位は1組、2位は6組、3位は4組だった。
ベスト3の得点が3位から発表され、その度にそのチームの応援席がワッと沸く。
1位の1組がアナウンスされた瞬間、俺はそっと隣の応援席にいる尚樹くんを盗み見た。
ひときわ大きな歓声が上がり、周りのクラスメイトと満面の笑みでハイタッチをする彼は、俺の知らない人に見えた。