「心惹かれるのが分からないって‥
「冴ちゃーーん!!今週もきたよー!!!」
「なんか来るの早くない?」
翔先輩が来た。なぜ来たのか意味が分からなかった。先輩たちの言動からしてこう言うことは何回もあるようだ。でもここは冴先輩の家だし、わざわざ何回も来る必要ないのに。
「だって新人くんがいるじゃん」
「別にいてもよくない?」
「あーーーもう!!冴ちゃんは危機感が全くないんだから!」
「で、陽斗くん何?」
「いや‥なんでもないです」
話の続きをしようと思ったが絶対にできる空気感ではない。やめとこう。
「冴ちゃん僕コンビニのプリン食べたくなってきちゃった〜」
「なんでここに来るまで買ってこなかったの?」
「ごめん!!コンビニまで行って買ってきてくれる?」
「別にいいけど」
「ありがと〜う!冴ちゃん大好きだよ」
「行ってきます」
そんな会話が早送りくらいのスピードで目の前で繰り広げられていた。あっという間に冴先輩がドアを開けて外に行きコンビニまで行ったようだ。
「‥で、さっき何を言おうとしたの?」
冴先輩に言おうとした話の続きはあまり話したこともない翔先輩に言う必要があるようだ。
「え‥?」
「だから『心惹かれるのが分からないって‥』の続き」
聞かれていたのかと驚いた。ならばいつから聞いていたのか。
「心惹かれるのが分からないってどういうことなのかと思って‥」
「はぁ‥」
この感じ。翔先輩は何か知っているようだ。
「教えてください冴先輩が言っている『分からない』ってどういうことなんですか?」
知りたい。尊敬している先輩に何か秘密があるのならば理解したい。
「知ってるところでなんで君に教えないといけないの」
「尊敬している先輩が何か悩んでいるのならば理解したいんです」
「もし僕が冴ちゃんのことを君に全て教えたらひどい言葉を投げかけないって約束できる?」
「え‥?」
「絶対冴ちゃんから離れないって約束できる?」
なんのことを言っているのかわからなかった。でもそんなものもう決まっている。
「離れるわけないじゃないですかこれからもいろんなことを学ばせて欲しいですし」
「冴ちゃんは物心ついてない時から実の母親に虐待されていたんだよ」
言葉が出なかった。何を言えばいいのかわからなかった。冴先輩の話をしている翔先輩の顔は自分のことのように悲しそうな顔をしていた。冴先輩が虐待の影響で感情がわからなくなってしまったこと。虐待がなくなった後でもフラッシュバックが多くて何回も死のうとしたこと。翔先輩の言葉だけでも心が苦しくなった。きっと冴先輩はとても辛かったんだろう。
「中学生と高校生の時冴ちゃんはいじめられてた」
「クラスメイトはもちろん先生も冴ちゃんのことを理解できなくていじめてた」
いじめとは本当に愚かだと思う。
「冴ちゃんは辛いとか言えなかったけど心はちゃんとつらかったと思うんだ」
「その時のフラッシュバックの回数も増えていたし日常的に涙を流していた」
これで話終わったのか先輩は口を結んだ。
「冴ちゃんは昔は楽しかったら笑顔をすぐ見せる子だったし怒ったら正義を振りかざす子だった僕は長い間冴ちゃんの隣にいて守ってきたけれど症状を軽くしたりフラッシュバックを無くしたりすることはできなかった」
「僕はただ昔の可愛い笑顔をもう一回見たいだけなんだ」
「だから君が冴ちゃんの失感情症を理解できなくてキモいと感じるならこれから冴ちゃんには関わらないでほしい」
きっと翔先輩も苦しかったのだろう。ずっと隣で守っていたけどいじめられていたのだから。
「はい正直理解できません」
「でもキモいとは思いません理解できないものを理解しようと思ってはいけないんですか?」
この話は俺の脳内にずっとこびりついていた。この暑い気候でも溶けないほどに。
「冴ちゃーーん!!今週もきたよー!!!」
「なんか来るの早くない?」
翔先輩が来た。なぜ来たのか意味が分からなかった。先輩たちの言動からしてこう言うことは何回もあるようだ。でもここは冴先輩の家だし、わざわざ何回も来る必要ないのに。
「だって新人くんがいるじゃん」
「別にいてもよくない?」
「あーーーもう!!冴ちゃんは危機感が全くないんだから!」
「で、陽斗くん何?」
「いや‥なんでもないです」
話の続きをしようと思ったが絶対にできる空気感ではない。やめとこう。
「冴ちゃん僕コンビニのプリン食べたくなってきちゃった〜」
「なんでここに来るまで買ってこなかったの?」
「ごめん!!コンビニまで行って買ってきてくれる?」
「別にいいけど」
「ありがと〜う!冴ちゃん大好きだよ」
「行ってきます」
そんな会話が早送りくらいのスピードで目の前で繰り広げられていた。あっという間に冴先輩がドアを開けて外に行きコンビニまで行ったようだ。
「‥で、さっき何を言おうとしたの?」
冴先輩に言おうとした話の続きはあまり話したこともない翔先輩に言う必要があるようだ。
「え‥?」
「だから『心惹かれるのが分からないって‥』の続き」
聞かれていたのかと驚いた。ならばいつから聞いていたのか。
「心惹かれるのが分からないってどういうことなのかと思って‥」
「はぁ‥」
この感じ。翔先輩は何か知っているようだ。
「教えてください冴先輩が言っている『分からない』ってどういうことなんですか?」
知りたい。尊敬している先輩に何か秘密があるのならば理解したい。
「知ってるところでなんで君に教えないといけないの」
「尊敬している先輩が何か悩んでいるのならば理解したいんです」
「もし僕が冴ちゃんのことを君に全て教えたらひどい言葉を投げかけないって約束できる?」
「え‥?」
「絶対冴ちゃんから離れないって約束できる?」
なんのことを言っているのかわからなかった。でもそんなものもう決まっている。
「離れるわけないじゃないですかこれからもいろんなことを学ばせて欲しいですし」
「冴ちゃんは物心ついてない時から実の母親に虐待されていたんだよ」
言葉が出なかった。何を言えばいいのかわからなかった。冴先輩の話をしている翔先輩の顔は自分のことのように悲しそうな顔をしていた。冴先輩が虐待の影響で感情がわからなくなってしまったこと。虐待がなくなった後でもフラッシュバックが多くて何回も死のうとしたこと。翔先輩の言葉だけでも心が苦しくなった。きっと冴先輩はとても辛かったんだろう。
「中学生と高校生の時冴ちゃんはいじめられてた」
「クラスメイトはもちろん先生も冴ちゃんのことを理解できなくていじめてた」
いじめとは本当に愚かだと思う。
「冴ちゃんは辛いとか言えなかったけど心はちゃんとつらかったと思うんだ」
「その時のフラッシュバックの回数も増えていたし日常的に涙を流していた」
これで話終わったのか先輩は口を結んだ。
「冴ちゃんは昔は楽しかったら笑顔をすぐ見せる子だったし怒ったら正義を振りかざす子だった僕は長い間冴ちゃんの隣にいて守ってきたけれど症状を軽くしたりフラッシュバックを無くしたりすることはできなかった」
「僕はただ昔の可愛い笑顔をもう一回見たいだけなんだ」
「だから君が冴ちゃんの失感情症を理解できなくてキモいと感じるならこれから冴ちゃんには関わらないでほしい」
きっと翔先輩も苦しかったのだろう。ずっと隣で守っていたけどいじめられていたのだから。
「はい正直理解できません」
「でもキモいとは思いません理解できないものを理解しようと思ってはいけないんですか?」
この話は俺の脳内にずっとこびりついていた。この暑い気候でも溶けないほどに。