国風文化が華開く時、都で帝の次に力を持つ左大臣家のお姫様がいた。

 父は左大臣、母は先代皇帝の第一皇女。生まれながらにして権力を持つお方。

 そして、射干玉(ぬばたま)の黒髪に淡雪の肌をしていると言う。

 非の打ち所がないお姫様は、当然の定めのように入内されることとなった。

 しかし、お姫様は何か考えているようで......。

 その方の名は杏子(きょうこ)

 やがて、後宮で大輪の花を咲かすことなる。