言われるまで忘れてたけど、高校受験の時にそんな事があった。
試験開始五分前にやけにガサガサ後ろからするなって思って、ちょっと振り向いてみたら、ペンケースの中を必死に漁ってる女の子がいて。
机の上には鉛筆だけ出てたけど、消しゴムがなかったから消しゴム忘れたんだろうなって思って。
ちょうど二つ持ってたから、その子に一つあげたんだった。
「なんか、困ってる時に助けてくれる人ってちゃんといるんだなって、感激しちゃったんだよね、知り合いいなくて心細かったし。あの時から藤原君の後ろ姿、頭の中に残ってるんだよ」
そんな風に言われると、めっちゃ恥ずかしくなってくるんだが。
顔が熱くなってくるのがわかり、僕は少しうつむいた。
「高校に受かって、藤原君にもう一回お礼を言おうって思ってたんだけど、見つけられなくて。去年私、A組で藤原君は……」
「G組」
「そう!端と端で階も違ったから、見つけられなかったけれど、ある朝、うちの前を通る藤原君の後ろ姿を偶然見て、いた!ってなったんだよね」
当たり前だけど、全然知らなかった。
試験開始五分前にやけにガサガサ後ろからするなって思って、ちょっと振り向いてみたら、ペンケースの中を必死に漁ってる女の子がいて。
机の上には鉛筆だけ出てたけど、消しゴムがなかったから消しゴム忘れたんだろうなって思って。
ちょうど二つ持ってたから、その子に一つあげたんだった。
「なんか、困ってる時に助けてくれる人ってちゃんといるんだなって、感激しちゃったんだよね、知り合いいなくて心細かったし。あの時から藤原君の後ろ姿、頭の中に残ってるんだよ」
そんな風に言われると、めっちゃ恥ずかしくなってくるんだが。
顔が熱くなってくるのがわかり、僕は少しうつむいた。
「高校に受かって、藤原君にもう一回お礼を言おうって思ってたんだけど、見つけられなくて。去年私、A組で藤原君は……」
「G組」
「そう!端と端で階も違ったから、見つけられなかったけれど、ある朝、うちの前を通る藤原君の後ろ姿を偶然見て、いた!ってなったんだよね」
当たり前だけど、全然知らなかった。