河川敷って意外と静かで涼しい場所だったのか。

高架下で日陰だし、風もよく通る。

ひとつ手前にも高架下で同じ場所があったけれど、そっちは電車が通るとかなり音がうるさかった。

思わぬ穴場を見つけたと、珍しく本を読む手が止まらない。


暑い。とにかく毎日暑い。

命に関わる危険な暑さだって、ここ数年は気象予報士がそればかり言っているような気がする。

夏休みに入って、ようやく夏の暑さの中の通学から解放された。

朝から晩までエアコンの効いた部屋で快適に過ごせる……と思っていたのに。


「エアコン壊れたから、兄貴の部屋貸してよ」


受験生の弟にそう言われてしまったら、明け渡すしかない。

とはいえ、リビングでスマホをいじっていれば、親から小言が飛んでくる。

結局、灼熱の通学路から解放されたというのに、今度は居場所探しに自転車で出かける羽目となり、冒頭の状況に至る。

最初は図書館でも行くかと自転車を走らせていた。

だけど図書館にたどり着くよりも先にこの場所を見つけてしまった。