数日後、私たちの担当する楽器を決めることになった。中等部一年生はコンクールに出られないらしいけど、まあ、いいや。
「そうそう。それで唇をぶるぶるーって震わせる感じで…」
今はトランペットの体験中。ここのパートリーダーである主野未来先輩は初期から私に優しくしてくれている。余談だが、噂によれば彼氏がいるらしい。
(まあ、先輩ってすごく明るい人だからね…)
未来先輩は太陽並みに明るい人で、誰かが落ち込んでいるときには話を聞いてあげられる、素敵な人。多分人類の鏡か何かになれる。
「こ、こうですか…?」
「そうそう!すっごく上手!」
(褒められただけでもすごく嬉しい…)
「よし、じゃあ楽器を付けて吹いてみて。」
初めて持った楽器は、これでもかというくらい重たかった。
「楽器、重いでしょ。私も、昔は少し高く持ち上げるだけで肩が凝ったからね…」
「肩、凝るんですか?」
「まあね。でも、今はもう何も思わない。」
(流石は先輩…)
「ほら、感覚を忘れないうちに吹いてみて。」
「は、はい!」
「これで、全員体験し終えたな。」
三日間かけて、全ての楽器を体験した。意外なことに、全ての楽器で音らしい音が出た。
「一度、全員と面談をして決める予定だ。自分の希望通りにはいかないかもしれないが、そこは分かっておいてください。」
私の今のところの希望は、クラリネット。オーボエは人手が足りなくなって困ったときに、一番最初に声をかけてもらいたいから、クラリネットで修行する予定。
「じゃあ、一旦名簿順で面談しますね。一条から。」
待っている間は、雑談タイム。自分の挑戦したい楽器を言い合っていると、あることに気付いた。
(オーボエに挑戦したい人全然いない⁈)
正直言うと、多いのはサックスやトランペットなど、バンドの花形とも呼ばれるところ辺り。聞いた感じはトランペット希望が五人、サックス希望は四人。
(でも定員は二人…)
先輩たちの情報によれば、定員オーバーしたパートは話し合いをしたり先生が思いを聞いたりするらしいが、最後まで決まらなければくじ引きをするということもあるらしい。
『私たちはね、くじ引きだったの。みんなどうしてもトランペットが良いって言って譲りたがらなかったから、くじ引きをしたの。』
『それで、未来先輩は…』
『私は何とかね。でも、私と仲が良かった子とはできなくってさ。』
『…』
『その子とは今も仲良しだけど、その時はすごく話すのが気まずくてさ…』
未来先輩もそう言っていたぐらいだから、結構身構えてはいた。
「星那、空振りだね。」
「ホントそうだよ…何となく人気があるのかなって思ってたけど…」
「それに、このままいけばクラリネットも定員オーバーしないからね。」
「うん…もう笑うしかないよ…」
六華の言う通り、空振り。結乃も、クラリネットが定員オーバーしていないことを分かっている…
「そういや、もうすぐ星那の番じゃない?」
「確かに…」
「千鶴ー!」
呼ばれた…
「星那、頑張って!」
「どんなかんじだったか、教えてよね。」
結乃と六華の言葉を背に、私は先生のいる部屋に向かった。
「そうそう。それで唇をぶるぶるーって震わせる感じで…」
今はトランペットの体験中。ここのパートリーダーである主野未来先輩は初期から私に優しくしてくれている。余談だが、噂によれば彼氏がいるらしい。
(まあ、先輩ってすごく明るい人だからね…)
未来先輩は太陽並みに明るい人で、誰かが落ち込んでいるときには話を聞いてあげられる、素敵な人。多分人類の鏡か何かになれる。
「こ、こうですか…?」
「そうそう!すっごく上手!」
(褒められただけでもすごく嬉しい…)
「よし、じゃあ楽器を付けて吹いてみて。」
初めて持った楽器は、これでもかというくらい重たかった。
「楽器、重いでしょ。私も、昔は少し高く持ち上げるだけで肩が凝ったからね…」
「肩、凝るんですか?」
「まあね。でも、今はもう何も思わない。」
(流石は先輩…)
「ほら、感覚を忘れないうちに吹いてみて。」
「は、はい!」
「これで、全員体験し終えたな。」
三日間かけて、全ての楽器を体験した。意外なことに、全ての楽器で音らしい音が出た。
「一度、全員と面談をして決める予定だ。自分の希望通りにはいかないかもしれないが、そこは分かっておいてください。」
私の今のところの希望は、クラリネット。オーボエは人手が足りなくなって困ったときに、一番最初に声をかけてもらいたいから、クラリネットで修行する予定。
「じゃあ、一旦名簿順で面談しますね。一条から。」
待っている間は、雑談タイム。自分の挑戦したい楽器を言い合っていると、あることに気付いた。
(オーボエに挑戦したい人全然いない⁈)
正直言うと、多いのはサックスやトランペットなど、バンドの花形とも呼ばれるところ辺り。聞いた感じはトランペット希望が五人、サックス希望は四人。
(でも定員は二人…)
先輩たちの情報によれば、定員オーバーしたパートは話し合いをしたり先生が思いを聞いたりするらしいが、最後まで決まらなければくじ引きをするということもあるらしい。
『私たちはね、くじ引きだったの。みんなどうしてもトランペットが良いって言って譲りたがらなかったから、くじ引きをしたの。』
『それで、未来先輩は…』
『私は何とかね。でも、私と仲が良かった子とはできなくってさ。』
『…』
『その子とは今も仲良しだけど、その時はすごく話すのが気まずくてさ…』
未来先輩もそう言っていたぐらいだから、結構身構えてはいた。
「星那、空振りだね。」
「ホントそうだよ…何となく人気があるのかなって思ってたけど…」
「それに、このままいけばクラリネットも定員オーバーしないからね。」
「うん…もう笑うしかないよ…」
六華の言う通り、空振り。結乃も、クラリネットが定員オーバーしていないことを分かっている…
「そういや、もうすぐ星那の番じゃない?」
「確かに…」
「千鶴ー!」
呼ばれた…
「星那、頑張って!」
「どんなかんじだったか、教えてよね。」
結乃と六華の言葉を背に、私は先生のいる部屋に向かった。