「できたー!」
「え、もう?」
「星那…早すぎる…」

 あれから一時間、やっとの思いで帯留めが完成した。

「星那様…手伝ってください…」
「私も…」
「はーい。」

 ♢ ♢ ♢

 ついに、夏祭りの日がやって来た。

「星那、ちょっとこっちにおいで。」
「どうかした?」

 急に、お母さんに呼ばれた。

「——良い感じ。ちょっとした物だけど、プレゼント。」

 私の頭に、オシャレな髪飾り。

「ありがとう!」

とても私の好みに合っている。流石、13年私のことを育ててくれた我が母。

「気を付けてね。何かあったら連絡するのよ?」
「うん。」
「帰りはお父さんが迎えに来てくれるからね。六華ちゃんと結乃ちゃんにも伝えておいてね。」
「分かった、ありがとう!」

 ♢ ♢ ♢

「今から何する?」
「別になんでもいいよ。星那は?」
(なぜ私に決定権が…?)

 まあ、そんなことは置いておいて…

「射的!」

 私が縁日でやりたかったこと、射的。

「星那、射的とか上手だもんね。」
「まあね。」

 今回の狙いは…

(光星の大っ好きなルービックキューブ!)

 私の欲しいものは今回なかったので、せっかくならと思い…

「星那、今回のお目当ては?」
「ルービックキューブ。光星へのお土産に。」

 とても子供っぽい光星だけど、私の大好きな初めての弟。

「もうすぐだね。」
「混んでなくて良かった。星那の腕前、見せてもらおっと。」

 とてつもなく私に期待している六華と結乃。重圧がすごい。

(やっとだ。)
「らっしゃい、って…え⁈」
「え⁈」

 目の前には、光琉先輩。なぜこんな所に?

「先輩…?」
「星那…ちゃん?」

 びっくり。

「先輩…なぜここに?」
「いや、親が毎年出店を出すから、その手伝い。星那ちゃんは?」
「六華と結乃と祭り行くぞーってなって、ここに来ました。今から射的をするので、お願いします。」
「はい、毎度あり。」

 射的用の鉄砲みたいなのを持つと、謎に気合が入る。

“パァン”

 軽快な射撃音。

「はい、ルービックキューブ。ありがとね。」

 狙いは命中。

「ありがとうございます。」
「はいよ。祭り、楽しんでな。」