本当に言う通りだ。あの美女の叫びは中学時代の私の叫びでもある。そして今の私の叫びでもある。
 
 名前の虹が目立つものだから?庇ったから?気に入らないから?だからってこんな仕打ち……あんまりだよ。

 私は身長が小学生みたいに低いだけのブサイクな女。面接で長所を教えてくださいと聞かれても沈黙するしかないほど何もない。

 勉強も運動も得意じゃない。何か賞状をもらえるような人でもない。つまり、何の取り柄もない。
 
 うずくまる回数が多い父さん。
 
 産まれなかった本当の弟の分まで頑張って生きてほしいという想いを押し付けてくる心温さん。
 
 椋翔くんと仲良くなれると想うと信じてくれた櫂冬くんと丘先生。
 椋翔くんの愚痴を聞いてくれたから友達なのと言い張る柚香ちゃん。
 運命的なもの感じてるからと無理矢理話そうとしてきた、大嫌いな椋翔くん。

 みんな私が死んだら悲しんでくれるかな。

 いや、そんなのどうでもいいや。
 もうこんな世界、生きたくない。生きづらい。
 前を向いて生きろ?そんなこと到底できっこない。これまでも、これからも、一生。

 ガンッガンッガンッ。
 何度も何度もボールが打ち付けられる。その度に鈍い音が響く。意識が朦朧とし、頭の中には過去の記憶が走馬灯のように次々と浮かび上がってくる。

 ……死にたい。

 心のなかで、ボソッと呟きがこぼれる。

 そうだ。この意識が途絶えて、それでも怪我だらけで気絶してるだけだったら、もう一度目を覚ましてしまったら、その時はどこでもいい。なんでもいい。

 高いところから飛び降りたり、睡眠薬を何粒も飲んだり、ナイフで自分を刺したり、首を縄で絞めたり、踏切に飛び込んだり、信号無視して道路に飛び出したり。

 怖くなんかない。命だって惜しくない。そんなものくれてやる。幸せなひとときはあったけれど、だからといって生きる理由なんてどこにもない。息をしっかりとして生きていける場所なんて現れるわけない。