この行動がきっかけで私は気に入らないとか思われたのだろう。次の日いや、その日のうちに秒速で環境が悪くなった。

 スマホを開いてみても、友達からはいつまでも返信がこなかった。そればかりか、朝教室にきていくら「おはよう」と声をかけても無視された。まるでいない人間かのように扱われて寂しくなった。

 加えてあの女子達に呼び出され、ひどい仕打ちを受けたことが何度もあった。

 旧館の古いトイレに閉じ込められて上から冷水を浴びせられたり、トイレの床に手をついて、土下座する羽目にあったり。

 あの美女は不登校になったのか否か、私の前に姿を現さなくなった。

 そしてある日。

 教室に行ったら自分の席がなかった。

「もう、無理……」

 そう、私は中学時代の自分と重なったからという理由で、誰かもわからない美女を慰め庇い、その結果いじめを受け不登校になったのだ。

*

 図書室登校をすすめられてから数日が経った。だが、デコピンされてからは椋翔くんとは接点が生まれていない。

 朝来て目が合ったら彼は会釈をしてくれて私も返す。お互い笑顔は浮かべず、何か筆談を交わすわけでもなく椋翔くんは小説をひたすら書き、私はその隣の席で本を読むだけ。

 昼休みになってももちろん、柚香さんと柳くんが来ることはなくて丘先生が「一休みにどう?」って梅ジュースを振る舞ってくれるだけ。  

 帰りの時間になっても何も筆談を交わすことなくお互い無言で図書室を後にする。

 その環境に慣れてしまったのか、本の内容は自然と頭へ入るようになり、ぼんやりと過ごすことはなくなった。

 そんな中、ある本の中の言葉に目がとまる。