「なあに? これ。ギルドの新しい武器?」
昼食の時間になって、料理人のオヤジさんが出してくれたのは、黒くて三角形の物体だった。
大きさは、ルシウスの子供の拳よりちょっと大きめ。
ルシウスの十四年の人生で初めて見る。
皿の上に山盛りになっているから料理なのだろうが、食べ物には見えなかった。
「この黒いのは海苔といってな、この辺の海産物を紙みたいに加工したもんだ。これは炊いた米を巻いて食べやすくしたもので、おにぎりっていう」
「おにぎり」
ここココ村支部に来てから、知らない食べ物がたくさんだ。
そして、調理スキル上級プラス持ちの料理人のオヤジさんの作る料理に間違いはない。
食べてみろと促され、手掴みで良いと言うのでお絞りで手を拭ってから恐る恐るひとつ。
ぱくりと一口。
黒い表面は磯の香りがした。ちょっとしっとり。
中には炊き込みご飯が入っている。
齧ったところを見ると、黒い太めの糸屑のようなものと、ニンジンの千切り、大豆など、煮物で以前オヤジさんが作ってくれたものが具になって混ぜ込まれていた。
オヤジさんがよく使う醤油やみりんという甘い調味料、それに魚の出汁の味がする。
「どうだ? ヒジキの炊き込みご飯おにぎり」
「おいしい。すごく優しい味がする!」
これはいける。5個ぐらいぺろりといけてしまうやつだ。
あとできたら、今晩のお夜食用にキープしておきたい!
今日のスープはいつものワカメスープ。
メインは好きなものを注文できる。
まだ先日納品したばかりのデビルズサーモンがあるはずだから、蒸し焼きにでもしてもらおうかなと思っていると。
「お、おい、何か見たことねえ奴が来てるぞ!?」
食堂の窓からオヤジさんが海のほうを指差した。
「む?」
おにぎりにかぶりつきながら窓の外を覗くと、何やらうねうねとたくさんの触手をくねらせているものが海上の遠くに見える。
しかも、ずらりと並んで大挙して押し寄せてきている。
「き、吸血オクトパス……!」
受付嬢のクレアが震え出す。
「ま、不味いです、あの魔物は物理攻撃が効きにくいんです! 魔法か魔術じゃないと!」
「てことは魔力使いが主戦力……」
食堂内を見回す。
面子はまずいつもの髭面大男のギルドマスター、カラドン。
大剣使いで、魔力使いではない。
戦力外!
サブギルドマスターのシルヴィスは暗器使いで、魔法がそれなりに使える。
戦力カウントOK。
受付嬢クレアは弓と短剣使いで、魔術は少し。いける。
他、数名の冒険者の男たちがいるが、剣士二人、タンク一人。
魔力使える? とルシウスが尋ねると、三人ともぷるぷると首を振って否定した。
何てことだ、使えない!
「てことは、主戦力は魔法使いのハスミンさんだけ!」
「ええええ。あんまりあたしに過剰な期待かけないでえええ!」
攻撃手段は持っているものの、女魔法使いのハスミンは基本は強化魔法担当で、後衛ポジション役が多い。
女性で打たれ弱いので前衛に出すと危ない。
「ひい、ふう、みい……うねうねモンスターがいっぱい!」
有効な戦闘員は四人。巨大なタコの魔物はたくさん。
冒険者ギルド、ココ村支部、本気でヤバい危機だった。
昼食の時間になって、料理人のオヤジさんが出してくれたのは、黒くて三角形の物体だった。
大きさは、ルシウスの子供の拳よりちょっと大きめ。
ルシウスの十四年の人生で初めて見る。
皿の上に山盛りになっているから料理なのだろうが、食べ物には見えなかった。
「この黒いのは海苔といってな、この辺の海産物を紙みたいに加工したもんだ。これは炊いた米を巻いて食べやすくしたもので、おにぎりっていう」
「おにぎり」
ここココ村支部に来てから、知らない食べ物がたくさんだ。
そして、調理スキル上級プラス持ちの料理人のオヤジさんの作る料理に間違いはない。
食べてみろと促され、手掴みで良いと言うのでお絞りで手を拭ってから恐る恐るひとつ。
ぱくりと一口。
黒い表面は磯の香りがした。ちょっとしっとり。
中には炊き込みご飯が入っている。
齧ったところを見ると、黒い太めの糸屑のようなものと、ニンジンの千切り、大豆など、煮物で以前オヤジさんが作ってくれたものが具になって混ぜ込まれていた。
オヤジさんがよく使う醤油やみりんという甘い調味料、それに魚の出汁の味がする。
「どうだ? ヒジキの炊き込みご飯おにぎり」
「おいしい。すごく優しい味がする!」
これはいける。5個ぐらいぺろりといけてしまうやつだ。
あとできたら、今晩のお夜食用にキープしておきたい!
今日のスープはいつものワカメスープ。
メインは好きなものを注文できる。
まだ先日納品したばかりのデビルズサーモンがあるはずだから、蒸し焼きにでもしてもらおうかなと思っていると。
「お、おい、何か見たことねえ奴が来てるぞ!?」
食堂の窓からオヤジさんが海のほうを指差した。
「む?」
おにぎりにかぶりつきながら窓の外を覗くと、何やらうねうねとたくさんの触手をくねらせているものが海上の遠くに見える。
しかも、ずらりと並んで大挙して押し寄せてきている。
「き、吸血オクトパス……!」
受付嬢のクレアが震え出す。
「ま、不味いです、あの魔物は物理攻撃が効きにくいんです! 魔法か魔術じゃないと!」
「てことは魔力使いが主戦力……」
食堂内を見回す。
面子はまずいつもの髭面大男のギルドマスター、カラドン。
大剣使いで、魔力使いではない。
戦力外!
サブギルドマスターのシルヴィスは暗器使いで、魔法がそれなりに使える。
戦力カウントOK。
受付嬢クレアは弓と短剣使いで、魔術は少し。いける。
他、数名の冒険者の男たちがいるが、剣士二人、タンク一人。
魔力使える? とルシウスが尋ねると、三人ともぷるぷると首を振って否定した。
何てことだ、使えない!
「てことは、主戦力は魔法使いのハスミンさんだけ!」
「ええええ。あんまりあたしに過剰な期待かけないでえええ!」
攻撃手段は持っているものの、女魔法使いのハスミンは基本は強化魔法担当で、後衛ポジション役が多い。
女性で打たれ弱いので前衛に出すと危ない。
「ひい、ふう、みい……うねうねモンスターがいっぱい!」
有効な戦闘員は四人。巨大なタコの魔物はたくさん。
冒険者ギルド、ココ村支部、本気でヤバい危機だった。