「あ、この剣は刃こぼれ防止の付与が最初から付いてるね。こういうのには魔法樹脂は使えないよ」

「お前、鑑定スキルまで持ってるのかよ!?」


 さすがに慌てて、髭面ギルドマスターはルシウスのところへすっ飛んでいった。


「持ってるよ? 物品鑑定と魔力鑑定ね。そろそろ人物鑑定スキルも生えるかもってうちの父様が言ってた!」


 この世界では、鑑定スキルはレアスキルのひとつだ。

 しかも、持っているスキルによって、鑑定対象が限定される。

 物品の情報読み取りは物品鑑定。

 人間の持つ魔力の性質読み取りは魔力鑑定。

 そして、人間のステータス読み取りは人物鑑定だ。

 それぞれ、初級、中級、上級、特級までランクがある。

 ちなみにすべての鑑定スキルを持った総合鑑定の持ち主となると、更に少ない。


「鑑定スキルのランクは?」
「わかんないです。バグってるから」

 そうだった。この子供のステータスは名前と出自や所属など以外の数値がバグって読めないのだった。
 そもそもバグってなんなの。


「……お前、ちょっと俺のこと鑑定してみ?」
「おっけー」


名前 カラドン

所属(出自) 冒険者ギルド・ゼクセリア共和国ココ村支部

称号 冒険者ギルド・ココ村支部ギルドマスター、S Sランク冒険者


「おっと、能力値は要らねえ。俺の家族構成見えるか?」
「見えるよー。奥さんとお嬢さんひとり」

「娘の名前と年齢は読み取れるか?」
「レイティアちゃん13歳!」

「……中級ランクか……」

 ちなみに人物鑑定スキルは、上級や特級になると、過去にお付き合いした彼氏や彼女の名前と、お色気的なことをしたかどうかの有無まで読み取れる。