魔術師フリーダヤが開発した光の円環、環というのは魔法と魔術の中間のような術式だ。
人間の胴体をくぐる、帯状の光るフラフープは魔法や魔術を使うためのコントロールパネルとして使える。
自分という個を超えて魔力を調達し、環使い同士で共鳴し合ったり、離れた場所からでも物品や情報のやりとりが可能になる。
空間移動の転移術もその応用だ。
この特徴から、環使いは自分の環の内部にアイテムボックスと呼ばれる保存領域を持つことが可能になる。
「倉庫3棟分のアイテムボックスとは……いやはや、破格な子だねえ」
そんな大容量の人間を見たことがないと、フリーダヤが苦笑している。
アイテムボックスは無限収納ではない。
開発者の魔術師フリーダヤの意向により、環使い本人の魔力量に応じた容量しか持てない。
元が医師の息子で魔力使いではなかったフリーダヤは庶民の家の部屋ひとつ分。
亡国の王女が出自のロータスは倉庫1棟分の容量を持つそうな。
「倉庫3棟分、お魚さん詰めなきゃ! あとオヤジさんの美味しいごはんもね!」
あまり環に興味を持っていないルシウスでも、アイテムボックス機能には大喜びした。
しかも容量がとにかく大きい。
使い方を覚えた後は、おうちから送られてきた衣服や家族の写真、おもちゃや大事なぬいぐるみ、学園の教科書や筆記用具、それに家族からの手紙ももう捨てる必要がなくなったのですべて収めていくのだった。
「俺は何を作ればいいんだい? 坊主」
「えっとね、サーモンパイでしょ、ツナマヨのおにぎりとサンドイッチ、海藻の炊き込みご飯、鯛めしも美味しかった……アサリのクラムチャウダーはマスト、海老ピラフは絶対、シーフードたっぷりのカレーは中辛でお願いします、カレーパンは多めに欲しいし、」
料理人のオヤジさんからレシピを写させてもらっていたが、やはり本人の作るごはんが一番美味しい。
「待った待った! そんなに言われても一度には作れないからね。メモにまとめてくれるかい?」
「はーい」
ルシウスがココ村支部に派遣される大元の原因の飯マズ男はもう拘束済み。
ギルマスのカラドンが頭を抱えていた巨大で二の脚が生えていたお魚さんモンスターももう出没しない。
あとはもう、おうちに帰るだけ! とウキウキしながら帰る準備をしているわけである。
明日は冒険者ギルドの本部から、飯マズ男を回収するための護送用の馬車が到着する。
そうしたら、故郷アケロニア王国に任務完了の報告をして、帰還手続きと馬車の手配をしてもらうのだ。
「あー……。ようやくケンの野郎ともおさらばだ。今日中に一階に降ろしておくか」
などとギルマスのカラドンが話していたのが昼食時のこと。
それから夕方になって、彼が3階の執務室へ向かうと、そこにあるはずの魔法樹脂に封印された飯マズ男が無くなっていた。
「お、おい! 執務室からケンを誰か下に降ろしたか!?」
慌てて冒険者たちが駄弁っている食堂に駆け込んできたが、誰も知る者がいない。
「ま、まさか……」
「逃亡……?」
「嘘だ! 僕の魔法樹脂があんな飯マズ男に解けるわけがない!」
ルシウスが叫んだ。
もしそうなら、魔法の大家リースト伯爵家の本家筋の沽券に関わる。
人間の胴体をくぐる、帯状の光るフラフープは魔法や魔術を使うためのコントロールパネルとして使える。
自分という個を超えて魔力を調達し、環使い同士で共鳴し合ったり、離れた場所からでも物品や情報のやりとりが可能になる。
空間移動の転移術もその応用だ。
この特徴から、環使いは自分の環の内部にアイテムボックスと呼ばれる保存領域を持つことが可能になる。
「倉庫3棟分のアイテムボックスとは……いやはや、破格な子だねえ」
そんな大容量の人間を見たことがないと、フリーダヤが苦笑している。
アイテムボックスは無限収納ではない。
開発者の魔術師フリーダヤの意向により、環使い本人の魔力量に応じた容量しか持てない。
元が医師の息子で魔力使いではなかったフリーダヤは庶民の家の部屋ひとつ分。
亡国の王女が出自のロータスは倉庫1棟分の容量を持つそうな。
「倉庫3棟分、お魚さん詰めなきゃ! あとオヤジさんの美味しいごはんもね!」
あまり環に興味を持っていないルシウスでも、アイテムボックス機能には大喜びした。
しかも容量がとにかく大きい。
使い方を覚えた後は、おうちから送られてきた衣服や家族の写真、おもちゃや大事なぬいぐるみ、学園の教科書や筆記用具、それに家族からの手紙ももう捨てる必要がなくなったのですべて収めていくのだった。
「俺は何を作ればいいんだい? 坊主」
「えっとね、サーモンパイでしょ、ツナマヨのおにぎりとサンドイッチ、海藻の炊き込みご飯、鯛めしも美味しかった……アサリのクラムチャウダーはマスト、海老ピラフは絶対、シーフードたっぷりのカレーは中辛でお願いします、カレーパンは多めに欲しいし、」
料理人のオヤジさんからレシピを写させてもらっていたが、やはり本人の作るごはんが一番美味しい。
「待った待った! そんなに言われても一度には作れないからね。メモにまとめてくれるかい?」
「はーい」
ルシウスがココ村支部に派遣される大元の原因の飯マズ男はもう拘束済み。
ギルマスのカラドンが頭を抱えていた巨大で二の脚が生えていたお魚さんモンスターももう出没しない。
あとはもう、おうちに帰るだけ! とウキウキしながら帰る準備をしているわけである。
明日は冒険者ギルドの本部から、飯マズ男を回収するための護送用の馬車が到着する。
そうしたら、故郷アケロニア王国に任務完了の報告をして、帰還手続きと馬車の手配をしてもらうのだ。
「あー……。ようやくケンの野郎ともおさらばだ。今日中に一階に降ろしておくか」
などとギルマスのカラドンが話していたのが昼食時のこと。
それから夕方になって、彼が3階の執務室へ向かうと、そこにあるはずの魔法樹脂に封印された飯マズ男が無くなっていた。
「お、おい! 執務室からケンを誰か下に降ろしたか!?」
慌てて冒険者たちが駄弁っている食堂に駆け込んできたが、誰も知る者がいない。
「ま、まさか……」
「逃亡……?」
「嘘だ! 僕の魔法樹脂があんな飯マズ男に解けるわけがない!」
ルシウスが叫んだ。
もしそうなら、魔法の大家リースト伯爵家の本家筋の沽券に関わる。