バルド王子との婚儀の日。バルドはガラスの靴をティティアーナに履かせてこようとしてきたが、ティティアーナはガラスの靴を履くのではなく手に持ってから、思い切っり地面へと叩き付けてやったのは今では良い思い出である。
「お母さんとの結婚式の日にな、お母さんはなお父さんが履かせようとしたガラスで出来たとても綺麗な靴をお父さんの目の前で地面にな、ばーん!って叩き付けて割ったんだぞ!」
「えー、なんで割っちゃったの……?」
肩まである三つ編みをしたまだ幼い少女は興味津々な顔をして父親であるバルドに問い掛ける。
「それはなぁ、」
「ふふ、懐かしいわね」
バルドと娘の話しを聞いていたティティアーナは笑みを溢す。王子様と結ばれたいとは思っていなかった私だったが、今ではこうして隣にいるのがバルド王子でよかったと思っている。
ティティアーナは愛おしい娘とバルドを見てから話しを続ける。
「実はお母さんはね……」
ティティアーナが言った言葉の続きはバルドと娘にしか聞こえなかった。
そんな3人の家族の姿を春の心地良い陽の光が照らしていた。