童話の中の一つのお話である『シンデレラ』の世界にどうやら私は転生してしまったみたいである。意地悪な継母とその連れ子である二人の義理の姉に、いじめられるということに既視感を覚えたことが転生したことに気付くことになるきっかけであった。

「未だに信じられないけれど、此処は童話の中のシンデレラの世界なのよね」

 独り言のようにポツリと呟いた少女は、掃除用の箒で床を掃く手を止めて、部屋の中に一つしかない開け放たれた窓から見える青く澄み渡る晴れた空を見上げる。
 
 こんな天気の良い日には外に出たい。と思ったりもするが、きっと無理だろう。だってこの世界での自分は『シンデレラ』なのだから。